研究課題/領域番号 |
20K12220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
後藤 知代 大阪大学, 高等共創研究院, 准教授 (60643682)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 水酸アパタイト / 水熱合成 / 結晶形態 / 収着 / 光学特性 / ハイドロキシアパタイト / 環境浄化 / インジケータ / リン酸カルシウム |
研究開始時の研究の概要 |
リン酸カルシウムは動物や人の骨の無機成分として知られており、怪我を治療する材料として医療現場で広く使用されている。また、水中の汚染物資を材料に取り込み水を綺麗にする吸着剤としても利用可能である。そこで本研究では、材料の構造を任意に作り変えることで、汚染物質の取り込み量を高めるとともに、どの程度汚染物質を取り込んだかを光学的な変化で判別しやすい機能を持つ環境浄化材料の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
水酸アパタイト(HAp)は、リン酸カルシウムの一種であり、優れた骨親和性を有するとともに、結晶面に依存した特異な有機物吸着特性や、陽陰イオン交換特性を示すことが知られている。これらの特性を利用すれば、生体材料への応用のみならず水や大気汚染物質を除去する吸着材や触媒担体等の環境浄化材料としての利用が期待される。本研究では、水熱合成法を利用し結晶形態・構造を制御したHAp結晶の合成と、外部環境下の変化に対して光学特性が変化するインジケータ型環境浄化材料への応用を視野に、HApの有する光学特性解明を研究目的とする。 2022年度では、昨年度から引き続き水熱合成による結晶形態制御の研究を進めるとともに、光学特性評価を実施した。昨年度は、ポリリン酸と炭酸カルシウムを用いたHAp水熱合成の結果よりカルシウム原料が残存する傾向が見られたことから、カルシウム原料を溶解しやすい硝酸塩に変更して合成を試みた。その結果、攪拌などを実施しない条件において、ユニークな均一球状リン酸カルシウムを得ることができた。詳細な組成の同定は現在進めており、次年度も引き続き合成条件と生成物の関係解明を進める。一方、HAp光学特性の評価試験では、尿素分解水熱合成法により炭酸を含有するHAp結晶を合成し、その蛍光スペクトルを測定した。蛍光スペクトルが400~450 nmの範囲でブロードなピークを示し、市販試料と比較してわずかに発光を示す傾向が見られた。本合成手法で得られるHApは、炭酸含有量(組成)だけでなく結晶形態も異なることから、どの因子が光学特性に影響するかひきつづき調査を進める予定である。 また、ソルボサーマル合成のHAp結晶の形態制御に関するこれまでの研究成果をまとめて国際会議発表および論文発表を行うとともに、環境浄化材料に関する関連研究の論文発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、これまで得た知見と研究結果を参考として、HApの結晶形態制御の検討と実験計画にそった光学特性評価を進めることができ、均一球状リン酸カルシウムの合成や炭酸含有HAp結晶の光学特性において市販品とは異なる傾向を観察することができた。さらに、これまでのソルボサーマル合成のHAp結晶の形態制御に関する研究をまとめて論文発表を実施した。しかし、当初予定していた本研究課題に対する実験結果の取得と研究成果の論文報告まで到達できていないことから、期間延長による実験継続を選択しており進捗状況はやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度となるため、水熱およびソルボサーマル合成により得られるリン酸カルシウム結晶の詳細分析と、物理化学的特性や光学特性との関係解明を、ひきつづき進める。特に、結晶材料表面および内部の環境・構造変化による特性変化を調査することで、本研究の目的としている水環境浄化材料としてのインジケータへの応用可能性について検討を進める。
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