研究課題/領域番号 |
20K12226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
渡辺 雄二郎 法政大学, 生命科学部, 教授 (60410297)
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研究分担者 |
田村 堅志 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (80370310)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | セシウム / ストロンチウム / ゼオライト / 雲母 / アパタイト / 複合体 / 吸着 / 放射性物質 / 粘土鉱物 |
研究開始時の研究の概要 |
福島第一原発の廃炉作業では燃料デブリの早期取り出しが緊急課題となっている。しかし取り出しには30年以上の長期間を要するため、環境中への核種移行遅延防止対策が必要となる。移行が想定される主な核種は、放射性セシウムと放射性ストロンチウムであり、これらの核種を安定保持できる低環境負荷な材料が求められる。本研究では、蓄積してきた雲母とゼオライト/アパタイト複合体を用いた137Csの回収・安定化技術を基に、環境中への漏出時の137Csと90Srに対して高選択性を有する粘土鉱物/アパタイト複合体を開発し、燃料デブリ由来の汚染水中の137Cs, 90Sr同時回収・安定化法を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究では、137Csと90Srに対して高選択性を有する粘土鉱物/アパタイト複合体を作製し、燃料デブリ由来の汚染水中の137Csと90Sr同時回収・安定化法の検討を行っている。本年度は2021年度までの雲母/アパタイト複合体によるセシウムイオンとストロンチウムイオンの吸着性能の結果を踏まえて、アパタイトを介した黒雲母とゼオライトの複合体(黒雲母/アパタイト/ゼオライト複合体)をリン酸アンモニウム処理に加えてリン酸水素二ナトリウムでの処理により作製すると共に、セシウムイオンとストロンチウムイオンの同時吸着実験を行い、吸着性能と選択性について評価した。その結果、リン酸アンモニウムを用いた時と同様に、リン酸水素二ナトリウムを用いて、黒雲母/アパタイト/ゼオライト(モルデナイト)複合体を作製できることが明らかになった。また、リン酸水素二ナトリウム処理により得られた複合体は、リン酸アンモニウム処理時の複合体と比較して、ストロンチウムイオンを選択的に吸着できており、アパタイトのストロンチウムイオン吸着能を保持したまま、セシウムイオンに対しても高い選択性を示すことが明らかになった。この結果は、リン酸水素二ナトリウムの処理によりナトリウムイオンが雲母層間やモルデナイト細孔内に取り込まれたためと考えられる。さらに、リン酸水素二ナトリウム処理により得られた複合体は、セシウムイオンが過剰に含まれる溶液中においても、ストロンチウムイオンを選択的に吸着できることが分かり、アパタイトの高いストロンチウムイオン選択性も明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り2022年度の実施内容を推進できているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は多価カチオンを導入した複合体によるセシウムイオンやストロンチウムイオンの吸着性能の評価や環境水中でのそれらの吸着および複合体の安定性の評価を行う。さらに実際の放射性物質での試験も検討予定である。
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