研究課題/領域番号 |
20K12230
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
|
研究機関 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
研究代表者 |
池田 宏 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 教授 (50332002)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | マイクロバブル / 超音波振動 / 環境調和型 / 機械部品 / 洗浄法 |
研究開始時の研究の概要 |
産業界において機械部品の精密洗浄を行う上で,よりクリーンにかつ洗浄液を再利用することは非常に重要である. 申請者が開発する超音波振動とマイクロバブルを併用した洗浄法には大きな利点が2点ある. 1点目は洗浄水のリサイクル利用より「環境に調和した」洗浄を実現できること,2点目はマイクロバブルと超音波振動を併用することで,「洗浄水の汚染低減を図ること」が可能であることが挙げられる. 本研究は,機械部品の洗浄において,マイクロバブルと超音波振動を活用することにより,洗浄水の汚染低減を行う環境調和型の洗浄法を開発し,この併用した場合の洗浄方法のメカニズムを解明することを目的とする.
|
研究実績の概要 |
本研究は,機械部品の洗浄において,マイクロバブルと超音波振動を活用することにより,洗浄水の汚染低減を行う環境調和型の洗浄法を開発し,この併用した場合の洗浄方法のメカニズムを解明することを目的としている.コロナ禍の影響のため延長した4年目までは,穴や溝のある機械部品や実際の機械部品を想定した立体試料の洗浄実験による検証を中心に精力的に行ってきた. 初年度までの測定では,使用するステンレス平板の形状については平面試料のみであったが,2年目以降からは機械部品を想定した立体試料についても洗浄速度の測定を行った.具体的には,立体試料の狭隘部が洗浄効果に及ぼす影響を確認し,超音波洗浄,マイクロバブル充満洗浄,超音波を併用したマイクロバブル充満洗浄の比較を行った.その結果,立体試料において超音波を併用したマイクロバブル充満洗浄を行うと洗浄による残留油分量の変化では超音波洗浄より残留油分量が多くなるが,洗浄後の試料表面の観察では全体的に偏りなく洗浄できることを明らかにした.さらに洗浄効果をより高めるために環境に影響を及ぼさない程度の界面活性剤を用いた場合の洗浄効果を明らかにすることにした.この実験により臨界ミセル濃度の界面活性剤を溶解した洗浄液にマイクロバブルを充満させ洗浄実験を行ったところ,立体試料においてはある特定の界面活性剤を併用すると平面試料と比べ洗浄効果が低いという結果が得られた. そこで4年目以降は,さらに洗浄に最適な条件を検討することにした.今後は,理論的な解析やより複雑な機械部品を用いた洗浄実験も行うことでその洗浄過程におけるメカニズムを解明する一助としたい.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度(令和5年度)は,実際の機械部品を想定した立体試料の洗浄実験をさらに進めることにした.界面活性剤を併用したマイクロバブル充満洗浄において洗浄試料の形状が洗浄効果に及ぼす影響を調査し,臨界ミセル濃度の界面活性剤を併用することで洗浄効果の向上が見られたが試料形状によっては洗浄効果の大幅な向上が得られないことが明らかになった.また界面活性剤の種類によっては試料形状に関係なく洗浄効果の向上が得られない場合があるという問題点も再確認することになった. 以上のことから洗浄物の形状ごとにマイクロバブル充満洗浄と併用する洗浄法を考える必要があり,より効率的な洗浄方法について再確認が必要である.さらに洗浄状況についてはデジタルマイクロスコープを用いた解析も進める必要がある.
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度(令和6年度)は,実際の精密機械部品を用いた洗浄実験による検証を行うため,さらなる洗浄に最適な条件を検討し,その洗浄過程を解明する.また,その補助的な確認として動画撮影による解析や理論的な検証も行う.なお,昨年度に超音波発生装置の不具合があったため,その修理を行なった上で各周波数における超音波振動との併用実験もさらに行う.
|