研究課題/領域番号 |
20K12252
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 公益財団法人地球環境産業技術研究機構 |
研究代表者 |
伊藤 史典 公益財団法人地球環境産業技術研究機構, その他部局等, 研究員 (10366429)
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研究分担者 |
山田 秀尚 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 准教授 (60446408)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | CO2分離膜 / 高分子膜 / メタン発酵 / カルシウム抽出 / CaCO3 / 堆肥 / 分離膜 / カルシウムの抽出 / 炭酸カルシウム / 二酸化炭素の固定化 / CO2分離 / 分離性能 / 選択性 / 食品ゲル / 炭酸塩 / ガス分離 / 廃棄物 / 有効利用 / CO2削減プロセス |
研究開始時の研究の概要 |
申請者が先頃開発した高性能かつ耐久性に優れたCO2分離膜を改良して、廃棄物処理問題に着目した新たなCO2削減プロセスを構築することを目的とした。すなわち、①食品廃棄物のメタン発酵で生じたガスを、改良した分離膜で純度90%以上のCH4を生成する。次に、②分離回収した95%以上のCO2を廃セメント (廃棄物)の有効利用により固定化する。そして、③メタン発酵後の残渣物と固定化時の生成物を用いて、土壌改良が可能な堆肥を開発する。以上の技術を組み合わせた、循環型の新規CO2削減プロセスを本申請課題で開発する。
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研究実績の概要 |
本研究ではこれまで、①食品ゲルを主とした分離膜の開発、②この分離膜を使用した、メタン発酵によって生じるガス(CO2/CH4=40/60)に対する分離性能評価、③廃棄物中から、Caを抽出することが可能な抽出液の開発、④③で開発した抽出液に対し、実際に、廃棄物中からCaを抽出し、その液へのCO2の吹き込みによるCaCO3生成の確認、等を行った。 ①-④の検討結果から、メタン発酵から生じたガス(CO2/CH4)に対し、高性能な分離が可能な膜開発、そして、分離回収したCO2に対し、廃棄物中から抽出したCaとの接触によるCaCO3の生成(CO2の固定化)を可能にした。 2023年度は、生成したCaCO3の適用についての検討を行った。CaCO3の用途は多岐にわたるが、本研究のコンセプトである、農地への適用の可能性の可否を確認することを、主な目的とした。CaCO3は酸性化した土壌のpHを中和するため、土壌のpH緩衝作用の改善に効果がある。例えば、メタン発酵後の残渣物は堆肥に利用されるが、CaCO3との均一な混合物は、土壌改良が可能な機能性を有した堆肥としての適用が、期待できる。そこで、通常使用されている堆肥とCaCO3を乾燥状態で均一に混合することが可能かどうかの、検討を行った。所定量の堆肥とCaCO3を用いて、乳鉢にて混合したところ、堆肥とCaCO3は問題なく混ざり合うことを確認した。この結果から、分離回収したCO2を、廃棄物から抽出したCaと接触させてCaCO3を生成し、これが堆肥との均一な混合が可能となる。その結果、機能性を有した特殊な堆肥の生成が期待できることが、明らかになった。以上、これまでの検討結果の組み合わせにより、循環型の新たなCO2削減プロセスの開発が可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、①メタン発酵後に生じるガス(CO2/CH4)を高性能に分離することが可能な、分離膜の開発、②廃棄物中からCaを効率的に抽出することが可能な抽出液の開発、③この抽出液を用いて、実際に、廃棄物中からCaを抽出し、CO2との接触によるCaCO3の生成、④生成したCaCO3と堆肥の均一な混合による、機能性を有した堆肥の開発、の実現を主な目的としている。2023年度までの成果において、当初の課題(①-④)全てを解消することが出来ている。その理由から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で課題としていた検討項目は、無事に終了した。既に、これまでの検討で得られている成果を整理し、まとめることを始めており、英文ジャーナルへの投稿を開始している。2024年度も引き続き、本研究の成果を英文ジャーナル等への積極的な投稿を行うことを考えている。
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