研究課題
基盤研究(C)
ヒトに最も近縁なチンパンジーの知性の象徴ともいえる「石器使用行動」に着目した調査をギニアとリベリアでおこなう。行動観察と道具として残された痕跡の両面からチンパンジーの石器使用の特徴を明らかにし、社会的構成や森林環境、道具となる石の種類が、集団間で異なることによって、行動にどのような違いをもたらすのか調査する。絶滅が極めて危惧されているチンパンジーの多くは保護区外に生息しており、生息情報が強く求められている。チンパンジーの用いた石器は腐敗しない。直接観察が容易でない地域において、残された石器をもとに生息域を推定し、チンパンジー保全へつながる基礎的資料を蓄積する。
リベリア共和国パラの森林に生息するチンパンジーを対象に生態学的研究をおこない、石器使用に関する特徴を、石器の数や地理的特徴から分析した。また、チンパンジーの肉食について、近隣集団が捕食しない動物を補食している事例を確認した。チンパンジーが何を食べ物と見なすか、社会的環境で獲得している可能性を示唆し、文化的行動と関連づけて考察した。
リベリア共和国パラは保護区外であり、その地域に生息するチンパンジーが近隣集団とは異なる文化的特徴をもつことを明らかにした。チンパンジーを保全の対象とするリベリア政府に重要な情報を提供でき、当該地域への関心を高めることができた。またIUCNにおけるチンパンジーの文化的行動に関するワーキンググループにて、チンパンジー保全に関する議論を進めることができた。
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Conservation Letters
巻: 15 号: 2
10.1111/conl.12860
モンキー
巻: 5(2) ページ: 46-47