研究課題/領域番号 |
20K12281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
喜多川 進 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00313784)
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研究分担者 |
伊藤 康 千葉商科大学, 人間社会学部, 教授 (10262388)
辛島 理人 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (20633704)
友澤 悠季 (西悠季) 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (50723681)
小堀 聡 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (90456583)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 環境政策史 / 経済成長 / 環境政策 / 地球環境政策 / 公害 / 環境保全 / 経済調和条項 / 地球環境問題 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の環境政策は1970年前後に制度化されてから約50年になるが,それをどのようにとらえるべきかという研究はほとんど着手されていない。そこで本研究では,「この50年間の日本の環境政策における,経済政策,産業政策などの経済的な要素と環境保全の対立と共存の実態と帰結はいかなるものであるか」という問いを設定し,既存研究にない新しい視点(政財官界への注目)と新しいアプローチ(環境政策史)から取り組む。この問いを追究するため,「この50年間の日本の環境政策がどのように進展あるいは停滞してきたのか」を,中央省庁,地方自治体,産業界,政党,さらには国際的なアクターの動向に注目して解明する。
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研究実績の概要 |
環境政策の制度化以来のこの50年は,成長させるべき「経済」と守るべき「環境」の攻防の歴史であったとの認識に立ち,今年度は「経済」と「環境」の関係性を環境政策史の視点から検討した。その結果,「経済」と「環境」をめぐるこの50年間のさまざまな主体の姿勢は,「環境主義」「環境リアリズム」「経済成長主義」という立場から説明されうることを明らかにした。 「環境主義」は環境を守ることを最優先する立場である。「環境リアリズム」は,経済成長と環境を守ることの両立を目指す立場と定義され,経済成長を重視しているがそれを前面に出さず,経済界に幅広く受容される,環境を守るとされる政策,ルール,スタンダード,原則,コンセプト等を創出するという特徴を持つ。一方,「経済成長主義」は,経済成長を最優先する立場と定義できる。経済成長主義の特徴は,経済成長を最優先するという前提のもとで環境対策に取り組むが,環境を守るとされる政策,ルール,基準,原則,コンセプト等を創出しないことにあり,環境リアリズムが創出した政策,ルール等に抵抗あるいは追従することになる。「環境主義」「環境リアリズム」「経済成長主義」に関する検討を通じて,今日の環境政策形成に大きな影響力を持っている,環境リアリズムの誕生・展開過程の歴史的解明の必要性が明らかになった。その際,環境リアリズムの質的変化の分析も重要である。 上記の研究の枠組みに関する分析と並行して,日本の公害対策,自動車環境対策,エネルギー対策,地球環境対策に関する事例分析も進めた。また,環境リアリズムや環境主義に関する検討の一環として,神奈川県,愛知県,京都府における保守の環境主義についても考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため国外・国内出張は制限されたが,5名の研究参加者は資料収集と分析をおこない,それらにもとづく研究報告および論文執筆を積極的におこなった。それらの成果は,査読誌を含む雑誌や書籍に掲載された。研究成果の英語での発信も積極的におこなった。
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今後の研究の推進方策 |
1980年代以降に台頭した環境リアリズムは,政府,国際機関,経済界,環境NGOなどを巻き込んだ国際的なネットワークを形成したと考えられる。この環境リアリズムの変化にも注目して研究をおこなう。また,事例研究を進めるとともに,論文執筆をおこない,研究のとりまとめをおこなう。
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