研究課題/領域番号 |
20K12291
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
伴 ひかり 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (70248102)
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研究分担者 |
藤川 清史 愛知学院大学, 経済学部, 教授 (60190013)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 炭素削減政策 / 排出量取引 / 貿易自由化 / 電力資本 / 農業 / CO2排出量 / 応用一般均衡分析 / 産業連関分析 / パリ協定 / 消費基準のCO2排出量 / 貿易政策 |
研究開始時の研究の概要 |
広範囲の経済統合の動きがある一方,低炭素社会の実現が喫緊の課題となった今,炭素削減と貿易政策の相互支持性が強く求められる. また,貿易自由化交渉において農業部門は重要なテーマの1つであり,気候変動枠組み条約締約国会議においてはその排出削減対象としての重要性が高まっている. 本研究では,応用一般均衡分析と産業連関分析を用いた炭素削減・貿易政策の経済・環境効果の分析を通じて,その相互支持性について,農業部門を考慮しながら検討する.
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研究実績の概要 |
本研究の課題は「炭素削減政策と貿易政策の相互支持性と農業部門の役割について」ではあるが,中国のCO2排出量が世界最大であることから中国の炭素削減政策及び貿易政策を念頭に置いている. 昨年度に続き,中国の国内排出量取引と産業別炭素税の経済・環境効果について,Truong版GTAP-E modelとGTAP Data Base10Aを用いた応用一般均衡分析を深めた.削減対象範囲とカーボン・リーケージ(政策変更等に企業や消費者が反応することで,国内で排出されていたCO2が国内の他産業や海外に漏出すること)の関係を考察し,CO2削減対象ではない部門の動向が国内のカーボン・リーケージに,貿易が国際的なカーボン・リーケージにもたらす影響を明確にした.CO2削減対象ではない農業部門について言えば,石炭石油製品が産業別炭素税の対象になる場合はその価格上昇のため,石炭石油製品からCO2排出の少ないガスや資本への代替が働き,農業部門のCO2排出量は生産増にも関わらず減少することが分かった.また,農業部門も排出量取引の対象となれば,農業部門は排出枠の売手になり,中国全体の経済負荷が軽減することが示された.さらに中国の低炭素政策の海外への影響には,当該国と中国の貿易の大きさのみならず貿易財の種類も関係することを明らかにした.これらの研究成果は英文書籍(Springer Natureから公刊)に公表し,また国際会議でも報告した. アジア諸国のエネルギー政策(電力部門投資)の経済・環境効果について,発電技術を区別するGTAP-E-Power modelを用いて分析した.発電技術別投資の分析を可能にするために,モデルを資本特殊的モデルに修正した.電力投資の経済・環境効果には電力,エネルギー集約財,石炭の貿易が影響を及ぼすことを示した.これらの研究成果を環境経済学及び産業連関分析関連の学会にて報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しいデータベースと改良モデルの利用が遅れ,分析が十分できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
2017年のグローバル経済に対応したGTAP Data Base Version 11がリリースされた.貿易政策と環境負荷における農業部門の役割について,日中韓,RCEP,TPPなどの枠組みでのシナリオ分析を新しいデータを用いて分析し,結果をまとめ,公表する.さらに,シミュレーション結果に産業連関分析を加え,付加価値構造,貿易構造,環境負荷構造への影響を考察する予定である. アジア諸国の電力資本構成の変化や電力部門の技術進歩の経済・環境効果について,新しいGTAP-E-Power Data Base 11を用いて応用一般均衡分析を行う.貿易がどのような役割を担うかを明らかにする. 対面やオンラインでの研究会を計画的に行い,研究を着実に推進していく予定である.
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