研究課題/領域番号 |
20K12293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
吉田 綾 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 主任研究員 (10442691)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 片づけ / ミニマリズム / シェアリングエコノミー / 溜め込み / 定量調査 / Web調査 / シェアリング / アニミズム / 購買行動 / ライフストーリー / ミニマリスト / 消費行動 / 脱物質化 / ライフスタイル |
研究開始時の研究の概要 |
現代社会は、便利で有益なモノを大量に生み出し、人々に多くのモノを所有する機会を与え、物質的な豊かさをもたらした。しかし一方で、大量消費・大量廃棄の産業体質と消費構造は、環境劣化と資源の浪費とを引き起こし、環境・資源の持続可能性を危機にさらしている。我々の消費行動を持続可能な形態へと転換を図る必要性が指摘されているが、規範的なアプローチには限界がある。本研究は、消費を構造的に転換する方策として「片づけ」と「シェアリング」に着目し、モノへの価値観・認知と購買行動の変化が与える影響について明らかにすることで、モノを大切に使い切る、廃棄物を最小限にする社会システムが定着するための政策を考察する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、モノを減らす片づけ行動が、モノへの価値観や所有意識、およびその後の買い物意識や行動の変化に与える影響について検討することである。また、本研究では、シェアリングにも着目し、フリマアプリやサブスクリプションによるモノの一時的な利用が個人のモノの所有意識に与える影響や、節約意識や環境意識との関係性についても検討対象としている。 本年度は、昨年度Web調査で収集したデータ(首都圏男女18-69歳, n=474)を、片づけ行動実施前と後での、衝動的購買尺度、物質主義尺度、自尊感情尺度など各尺度得点の平均値に差があるかどうかを対応のあるt検定で検討した。しかし、いずれの尺度でも有意な差は見られず、買い物頻度、生活満足度の平均値にも有意な差はなかった。この理由として、今回の調査対象者は自己流の片づけを行った人が多く、減らしたものの量も少なかったため、大きな心理的変化が見られなかったのではないかと考えられる。また、中古やシェアリングに関する質問項目について、性別によって賛否動向が変わるかどうかを検証した。新品の所有意向は女性の方が高く、男性のシェア志向は女性より高いという先行研究と概ね一致していると考えられた。一方、女性は、シェアの社会的や社会的望ましさ、他の人が着てくれるなら不要な衣類を提供してもよいといった利他的な意識が、男性よりも高い傾向が見られた。現在、これらの知見を論文にまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、3つの調査(定量調査、定性調査、国際比較調査)を予定していたが、コロナ禍により、片づけがその後の購買行動に与える影響について質問紙調査の実施が2年遅れた。シェアリングサービス(フリマアプリ等)の利用頻度が高い人を対象とした、フォーカスグループインタビュー(定性調査)は昨年度実施の予定であったが、インタビューガイド作成の段階において、先行研究のレビューや調査の実施方法について慎重に検討しなおす必要性を感じたため、Web調査のデータを用いたシェアリング意識の分析を先行して実施することとした。定性調査と国際比較調査は最終年度に予定しているため、達成度は「遅れている」と言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は本研究課題の最終年度であることから、これまでの調査で得られたデータの統計分析を行い、片づけが与える心理的な影響を精緻に検討する予定である。その結果を先行研究の知見と照らし合わせる中で、片づけでモノを減らすことやシェアリングの経験が、人々の消費行動・意識をどのように変えるのかというリサーチ・クエスチョンについて、一定の結論を出したいと考えている。
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