研究課題/領域番号 |
20K12294
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
小野 恭子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90356733)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 用量反応関係 / 鉛 / リスク評価 / 化学物質 / リスク比較 / 費用対効果分析 / 化学物質管理 / 定量的リスク評価 / 用量反応曲線 / 個人差 |
研究開始時の研究の概要 |
化学物質のリスク評価はこれまで、化学物質の規制値の設定や、リスクの懸念の有無を調べるために用いられてきたものの、異なる化学物質同士のリスク比較やリスク削減対策の費用効果分析については、日本で行われることがほとんどない。これは、多くの化学物質の用量反応曲線が、ある一定量以下は悪影響がない、閾値ありの形式になっているからである。本研究は、閾値のある化学物質の用量反応曲線を、リスク比較可能である、閾値のない形式に変換する手法を提示するもので、いくつかの物質を例に、削減できるリスクの大きさの推定と費用対効果分析を行う。この結果はリスクベースの合理的なリスク管理手法の提案につながることが期待される。
|
研究実績の概要 |
リスク比較に資する用量反応関係の導出、および用量反応関係を用いて日本におけるリスク評価実施について研究を進めた。 今年度は化学物質影響の指標として相対リスクを用い、用量と相対リスクについて用量反応曲線の導出を行うものとした。具体的には、成人の鉛リスク評価について、エンドポイントを循環器症状(死亡)として行った。背景としては、小児のIQをエンドポイントとした場合の鉛の影響評価は比較的多く実施され、日本でもリスクが評価されているものの、成人については評価が殆ど行われていないことが挙げられる。なお既往研究、WHOのGlobal Burden of Disease Studyにおいても骨中鉛濃度、収縮期血圧上昇、循環器症状による損失余命を算出している。 今年度は鉛を対象物質として血中鉛濃度あるいは骨中鉛濃度と循環器症状および症状に起因する死亡に関連する学術文献約50報を詳細にレビューし、コホート研究から確認した相対リスク、オッズ比、ハザード比を用いて、循環器症状(死亡)をエンドポイントとし、損失余命を指標とした日本人成人のリスク評価をすることとした。 さらに、鉛の暴露濃度について文献調査を行った。経口摂取量調査では、中央値(GM)5.61 μg/person/day、GSD=1.84(Hayashi et al. 2019)、マーケットバスケット方式による全国10か所の平均、11.8 μg/person/day(鈴木、厚生労働省調査2020)という報告がされていた。これらを参考に、ばらつきを考慮して日本人の男女別摂取量を設定することとした。追加的に、生体試料(血液、尿)における鉛濃度データも収集し、血中鉛濃度と摂取量を紐づけた研究についてもレビューしたのち、本研究に適用できるかを検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染拡大の影響で、当初予定していたスタッフの雇用が予定通りいかず、文献収集と整理を研究者自ら行わざるを得なかったため、解析につながる基礎データの整備が遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
日本における鉛の経口暴露量とそのばらつきを利用し、低用量暴露における日本人集団のリスク評価を、損失余命を指標にして実施し、他のリスクと比較する枠組みについての示唆を得る。
|