研究課題/領域番号 |
20K12296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
青木 一益 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (60397164)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | サステナビリティ・トランジション論 / Multi-Level Perspective / MLP / システム・イノベーション / 持続可能性 / 持続可能性移行研究 / ローカル・スケール / 政策アウトカム / イノベーション / トランスフォメーション / 移行 / ロックイン / ニッチ実験 / 媒介アクター(intermediaries) / 普及 / 空間フェーズ・モデル / 形態形成サイクル・モデル / サステナビリティ・トランジション / ニッチにおける実験 / 媒介アクター / 制度化 / ニッチの保護・エンパワメント / 普及・アップスケーリング / 分散型システム / 地域オフグリッド・マイクログリッド / トランジション研究 / 電力システム改革 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、特には東日本大震災以降、わが国の主要政策課題となった電力システム改革の帰趨を念頭に、エネルギーの分散型システムへの移行の可否および規定要因に関する分析を行う。具体的には、近年急速な深化を見る「サステナビリティ・トランジション論」に依拠しつつ、低炭素やレジリエンスといったサステナビリティの要請にもかなうとされる「地域オフグリッド」の社会実装の如何を、事例研究の手法により実証的に考察する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の主要目的の一つである、サステナビリティ・トランジション論における中核的理論枠組みとしてのMLP(Multi-Level Perspective)の更なる精緻化に、進展を見た。特には、ニッチ・レベルにおけるイノベーションの萌芽・揺籃が、地理的区画を伴うローカル・スケールで展開する点をより明示的にモデル化し、いわば「空間的により感度の高い(spatially-sensitive)MLP」を構築・提示することで、システム・イノベーションを志向して創発した新奇性(novelties)がレジーム・レベルへとアップスケールを遂げる経路に顕在化する、当該地域における文脈依存的展開・動態とそれ以降の複数地域を横断する脱文脈的展開・動態との間のアンビバレントで共進化的(co-evolutionary)な関係性・相互作用を、実証的・経験的によりよく捕捉・分析することを可能とした。 上記で見た「空間的により感度の高いMLP」を実際の当該事象に適用する為の事例研究の遂行が、本研究課題のもう一方の主要目的である。この点に関しては、本年度は、研究計画に沿い富山県内での地域新電力の設立やマイクログリッドの実証事業を素材とした調査・分析に従事した。その結果、新奇性がアップスケールを遂げる経路において、県と基礎自治体間および県下基礎自治体間にわたる多次元・多層的な連携・協調を可能とする媒介的(intermediary)なネットワークの作用が不在である点が、当該地域において地産地消を志向した分散型システムへのトランジション・移行にとって阻害要因となり得ることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論枠組みとしてのMLPの精緻化をはかるための作業に、計画よりもより多くの時間を労力を割くこととなり、平行して取り組むはずの事例研究の進捗にやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
時間的進捗にやや遅れが生じているものの、研究「内容」上の取組方針に修正等を施す必要性は生じていないので、今後は、引き続き、主には事例研究に従事することにより、得られた経験的知見・理解等を上記の「空間的により感度の高いMLP」へと再帰的に投射・フィードバックすることを通じて、理論面および実証面双方にわたるMLP(ひいては、サステナビリティ・トランジション論)の深化・発展に貢献することを目指す。 なお、上記の達成において重要となるのは、システム・イノベーションを志向した新奇性がアップスケールする際の動態および過程が、既存システムの支配的機能を担うレジームを規定する(複数から構成される)「ルールの束(rule-set)」を、なぜ、いかにして変化させる・させないのかを、(より粒度高く・子細に)探求・解明することである。この点にかかわる当該の調査・分析は、国内外を問わず先行研究に蓄積もなく、その着手・遂行は困難なものとなる。したがって、今後は、ここでの困難を克服すべき調査・分析上の手法・方法論を検討・構築するとの問題関心の下、研究推進をはかることとしたい。
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