研究課題/領域番号 |
20K12309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
小野 聡 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (20724636)
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研究分担者 |
熊澤 輝一 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (90464239)
木村 道徳 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 主任研究員 (90573923)
王 智弘 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (60614790)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | シミュレーション / グラフ理論 / 雪害 / ワークショップ / 市民参加 / 気候変動適応 / ゲーミング / 災害避難 / ゲーミングシミュレーション / フィールドワーク / エージェントベースシミュレーション / 住民参加 / 棋譜 / 意思決定 / 防災 / 避難行動 |
研究開始時の研究の概要 |
防災や環境計画の策定において、住民が参加した意思決定の仕組みを取り入れることが一般的になっている。一方で災害や環境問題といった分野は、その背景知識や経験の有無によって理解の程度や視野が異なる傾向にあるため、相互理解を進めることに難しさがある。近年では参加型の意思決定にゲームを取り入れることによって、仮想的なリスク状況を生み出して経験の共有、相互理解を促す取り組みがなされているが、ゲームで得られた経験を実際の意思決定に繋げるための手法については議論の余地がある。本研究ではゲームの結果得られた「棋譜」がどのような情報を生み出し得るかを検討することにより、ゲームを導入した参加手法の開発を試みる。
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研究実績の概要 |
2023年度は本研究課題のうち、ゲーミングと棋譜を取り入れたワークショップを通じた、シミュレーションの構築において成果を発表することができた。主な発表済みの業績は以下のとおりである。 第一に小野・木村(2023)では、豪雪地帯における地域的な気候変動適応プロセスの理解を深めるため、滋賀県高島市朽木地区を対象に探索的シナリオプランニング(XSP)を実施し、対話を通じて作成した因果ダイアグラムをもとにシミュレーションを構築・分析した。その結果、(1) 将来の社会的影響として「追加的公助」を構造化できた、(2) 共助の活発度や降雪パターン、集住度合いに応じた適応策への示唆を得ることができた、そして(3) XSPにおいて不確実性を参加者間で共有し、クリティカルな不確実性を同定する上で、対話とシミュレーションの相互作用を通じたプロセスの設計が不可欠であることが確認された。 第二に小野・木村(2024)では、具体的な地域をネットワーク構造によって再現し、雪害の社会的影響をシミュレーションした。その結果、(1) 積雪の深さの変遷及びその社会的影響を動態的に記述することができた、(2) 除雪車運行ルートから外れる支線が多いエリアでは積雪が深くなりやすいことが明らかになった、(3) 集落内外での資源融通を促進する適応策が必要であることが示唆された、(4) また、シミュレーション中で積雪が深くなった「要配慮家屋」ノードを抽出し、その分布や特徴を明らかにした。 今後の課題として、変数の操作による比較分析や合意形成プロセスへの効果に関する研究が挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
参加手法を通じたシミュレーションの構築・実施において概ね期待される成果を挙げることができた。学会大会にて口頭で発表したテーマについては、学会での議論内容をもとに加筆し現在原著論文として投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
学会大会にて口頭で発表したテーマについては、学会での議論内容をもとに加筆し現在原著論文として投稿中である。その執筆プロセスと並行して、ネットワーク表現した地域データをもとにした地域の脆弱性評価への応用について共同研究者と検討中であり、適宜ゲーミングを用いた会議を開催してシミュレーションの構築を進める。
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