研究課題/領域番号 |
20K12314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
松本 ますみ 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (30308564)
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研究分担者 |
佐藤 千歳 北海商科大学, 商学部, 教授 (80708743)
村上 志保 明治学院大学, キリスト教研究所, 研究員 (90526790)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 宗教 / 宗教中国化 / イスラーム / キリスト教 / 宗教統制 / グローバリゼーション / 権威主義国家体制 / 習近平 / エスニシティ / マイノリティ / 社会主義 / ジェンダー / 愛国主義 / 愛党主義 / 民族差別禁止条項 / ネットヘイト / 教会 / モスク / 一帯一路 / プロテスタントキリスト教 / 家庭教会 / 信教の自由 / 回族 |
研究開始時の研究の概要 |
中国習近平体制は大国化の方向を掲げる一方で、2015年から「宗教中国化」政策を打ち出した。本研究では、中国キリスト教研究者とイスラーム研究者が共同で、中国の信仰者が対峙する不条理な状況の共通性と抵抗の諸相を明らかにする。また、この政策転換の原因を国内状況、グローバル状況、思想史、近代史の文脈で分析する。同時に、信仰者が信仰を存続させようとしてきた事実と生存戦略を掘り起こし比較検証を行う。それにより、国連「持続可能な開発目標」(SDGs)の一つである世界の「平和と公正」の実現のための基礎研究とする。
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研究成果の概要 |
宗教中国化、特にキリスト教とイスラームの研究を行った。以下、明らかになった。第一に、2015年の宗教中国化の方針が明らかになるとともに、宗教教義への介入と、非中国的とみなされた教会やモスクの改造が進んだことである。改革開放後の宗教復興とは一線を画す。これは、「初心忘るるべからず」という社会主義路線の堅持と、「中華民族の大復興」という大国ナショナリズムの発揚が根底にある。第二に、世界第二の経済大国となった中国は、一帯一路によりイスラーム諸国との経済・安全保障体制を堅実なものとし、結果、海外のイスラーム勢力の干渉を遮断することに成功した。それにより宗教という不安定要因を除去することに一応成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
習近平政権下で起こっている宗教中国化という名の世俗化政策は宗教教義への介入や宗教教育の制限をももたらしている。本研究はこのことを中国史全体やグローバリゼーション下での中国の政治的経済的地位向上の文脈の中でとらえなおした。すなわち、宗教への介入は、中国の歴史上繰り返されていることであり、その性格上普遍化を目指す世界宗教は、中国社会に存在する以上、中国社会や政治の中でいつも改変を余儀なくされている、ということである。現在の中国政府は自由、民主、人権、法治といった西欧式の普遍的価値観に対する警戒感を怠らず、その文脈で宗教に対する統制を強化している。
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