研究課題/領域番号 |
20K12315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
宮田 伊知郎 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (80451730)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 都市開発 / 人種差別 / アメリカ研究 / アメリカ史 / アメリカ南部 / ジェンダー / 新自由主義 / 郊外化 / マイノリティ / 公共交通機関 / 環境運動 / 人種主義 / サンベルト / 高速道路 / アメリカ現代史 / ジェントリフィケーション / アメリカの都市 / 人種間関係 / 都市圏史 |
研究開始時の研究の概要 |
21世紀以降のアメリカ都市は、活気に満ちているように見える。このきっかけとなっているのが、環境保護、にぎわいの復活や史跡保存などの革新的な理念に基づいた開発である。しかし、こうした開発理念にもかかわらず、人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティの違いに基づいた差別はむしろ進展している。本研究は、公民権運動期以降のジョージア州アトランタにおける公共交通機関と都市中心部再生事業にとくに目を向け、これらの開発が誰によって、いかなる理念のもと、いかに行われたのかを分析、さらに革新的な開発との差別との連動について解明し、現代アメリカの都市に対する理解の深化を目指すものである。
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研究実績の概要 |
23年度の研究は、1) 一次史料の収集、2) 二次文献の整理、3)報告や翻訳の出版を通した成果公表を軸に進められた。 1については、当初計画に従い、前年に引き続き8月25日から9月11日までジョージア州アトランタを中心に一次史料踏査を行った。アトランタ郊外のモローにあるジョージア・カーカイヴスや、中心部にあるオーバーン通りリサーチライブラリーにて調査を行い、開発の現場や、開発の届かないインナーシティを訪れ、現状の確認を実施した。また、滞在中にはジョージア州立大学、ケネソー州立大学やオーガスタ大学の研究者との意見交換を行い、歴史的な拠点をともに訪れるなどして、ジョージア州の政治経済の現状や研究動向についての見知を更新することができた。 2に関しては、アメリカ都市研究や都市史、人種主義に関する文献を購入した。そして、これまで入手した文献の整理を継続しながら、研究動向の把握に努めた。 3においては、まず、アメリカ南部の戦後における変容を1991年に起きた工場火災を題材に示したB・サイモンの『ハムレット工場火災』の訳出を完成・出版した。公民権改革以降の人種間関係について詳述した本書は、アトランタを擁するアメリカ南部現代史の大作であり、本プロジェクトの根幹にあたる作業であった。また、本研究と同時並行で行ってきた「都市部における共生の危機と『内発的ソーシャル・ミックス』に関する仏米比較研究」(代表 森千香子)の研究会において報告をし、本プロジェクトの研究成果の一部を公表することができた。また、アメリカ学会の年次大会にて、冷戦期の反共主義がいかにグローバルに展開していたかを考察する部会のコメンテーターを務めた。反共主義が人種差別の展開や都市開発の形に与えた影響は極めて大きく、アメリカ南部研究の見地から反共主義について批評をするこの試みのなかでの作業も、本年度の研究成果の一部となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本プロジェクトは、コロナ禍が本格化する20年から始まっており、20年度、21年度と、アメリカ合衆国での調査ができない状況にあった。現地での史料収集が本研究の中心を占めていたため進行が芳しくなかっただけでなく、同時に進めていた科研プロジェクトも現地調査を中核に置いており、電子化した史料等の入手などによる対策を講じたものの、進捗の著しい遅れは否めなかった。 しかし、研究の進度は回復傾向にある。22年から現地調査にも行くことができるようになった。とりわけ23年には比較的長い期間の滞在が可能になり、訪問を望んでいた多くの文書館等においての調査の実施がかなった。 とはいえ、当初予定をしていた程度の踏査はまだできておらず、これに応じて、踏査結果の公表も遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べたように研究に進展はみられるものの、当初計画で想定した調査ならびに公表は完全には達成していない。よって、本来ならば23年度が最終年度の本事業であったが、研究期間を延長し、公務ならびに他プロジェクトとのバランスを図りつつ、現地調査、史料分析、二次文献の整理、成果公表を進めていきたい。
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