研究課題/領域番号 |
20K12316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中西 徹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30227839)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 非感染性疾患 / フィリピン / 貧困 / 食 / 有機農業 / 遺伝子組み換え作物 / 大手アグリビジネス / 提携 / 新しい貧困 / 「農」と「食」 / 貧困緩和と格差拡大 / 肥満 / プラント・ベース / ホール・フード / グローバル化 / 生活習慣病 / 健康 |
研究開始時の研究の概要 |
マニラの多くの貧困地区では,1990年代後半以降に絶対的貧困はある程度まで解決されたとはいえ,脆弱な医療制度と所得制約のゆえ,現在,生活習慣病による青壮年期の闘病と早世が貧困層家族に深刻かつ多大な長期的負担をもたらしている(第二の貧困)。この新たに惹起された状況は,地域社会全体の活力を失わせ,再度,絶対的貧困を招きかねない。本研究では,調査地における絶対的貧困の削減に社会関係が果たした役割を再検討し,それが第二の貧困の解決に貢献し得るか否かを検証する。その際,公式データや内部資料のみならず,インタビューにもとづき,コミュニティの歴史を,冷戦終結後のマニラ貧困層の社会変容の過程に位置づけたい。
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研究成果の概要 |
「貧困の変化,すなわち食の変化による非感染性疾患の増加という問題を,如何にして貧困層が,社会的関係を活かしながら,主体的に解決していくか?」というの問いに答えるために,オンラインと対面の調査を実施した。この結果,①農村側では,COVID-19パンデミック下において,大手アグリビジネスによる戦略的行動によって有機農業の発展が妨げられていること,②都市部貧困層の健康状態の改善のためには,健康のみならず農業と有機農業についての彼らの認識の深化が不可欠であることがあきらかになった。さらに,日本の「提携」に類似した農村と都市貧困層の間の有機農産物の直接取引という対応が有効であることも示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
開発経済学 においても注目されつつある肥満と生活習慣病の増加という「第二の貧困」を,低所得層による自助の観点から捉え直す研究として,フィリピンのみならず,発展途上国一般の貧困政策にも大きな実践的意義を有する点にある。 この「第二の貧困」の源泉の一つは,所得上昇による人々の食生活の急激な変化に求められるものであり,人々の意識改革によって,相当程度は解決し得る問題である。その意味で,緊密なコミュニティの役割は大きく,彼らの健康増進による福祉(well-being)の改善に多大な貢献をなし得る。
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