研究課題/領域番号 |
20K12326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
細谷 幸子 国際医療福祉大学, 成田看護学部, 教授 (60516152)
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研究分担者 |
葛西 賢太 上智大学, 実践宗教学研究科, 教授 (00281014)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | イスラーム / チャプレンシー / スピリチュアルケア / 終末期患者 / イラン / 終末期ケア |
研究開始時の研究の概要 |
イスファハンとコムを拠点に、終末期患者へのケアを実践するイスラーム学者/学徒の活動を追い、参与観察・インタビュー・カンファレンス開催・文献や報道からの情報収集による調査を実施する。<イランにおいて、医療と宗教の相克あるいは協働が、どのような動態的過程を取るのか>という問いに沿って、5年の研究期間に継続して記録した変化を、イランの社会/政治的文脈や国内外の議論や状況を踏まえて分析する。
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研究実績の概要 |
本研究では、イランをフィールドに、イスラーム学者/学徒らが終末期にある人々を対象に提供するイスラーム的ケアに注目しようとした。しかし、新型コロナウィルスのパンデミックや、イラン国内情勢の不安定化によって、当初予定していた現地調査が困難になった。そのため、研究対象をイランの終末期患者に限定せず、日本やヨーロッパに居住するムスリムも対象にしたスピリチュアルケア全般と、その実践者であるムスリム・チャプレンを調査する方針に転換した。ムスリム・チャプレンは、終末期患者だけでなく、薬物依存症者や受刑者なども支援対象とする。 2023年度もこの方針を踏襲し、オランダのムスリム・チャプレンに関する現地調査、ムスリムの受刑者を対象としたムスリム・チャプレンの取組みについての勉強会、オランダと欧州のムスリム・チャプレン活動の文献調査・現地調査の報告会をおこなった。また、イスタンブールで開催された国際学会でパネルを企画し、難民・移民として欧米や日本、韓国、トルコで暮らすムスリムが直面している諸問題について研究者たちと意見交換の機会を得た。 ムスリム・チャプレンは、ムスリムが少数派として暮らす国・地域で活動している。そのため、ムスリム・チャプレンの活動内容は、イランのようにムスリムが多数派として生活する国・地域で必要とされるイスラーム的ケアとは異なっている。これまでに分かった最も大きな違いは、ムスリム・チャプレンがムスリムのためのアドヴォカシー活動も担っているという点である。一方、ムスリムが多数派である国々では、欧米由来の心理学理論やカウンセリングの技法を持ち込み、「イスラーム心理学」の理論を構築し、実践を洗練させようという動きが存在している。これらは、当初本研究が目指していた、実践的で臨床的な場におけるイスラーム的ケアから、宗教と医療のポリティクスを理解しようとする目的に通じるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年5月に新型コロナウィルスが5類感染症に移行するまで、海外渡航の機会が十分得られず、パンデミックの影響で業務負担が非常に大きかった。2023年8月には他の資金でイランに渡航することができたが、現地調査の基盤となるネットワークの修復から開始せざるを得なかった。そのため、現時点では、遅れを十分取り戻せたと言えるほどの研究活動ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、再度イラン渡航の可能性を探り、終末期患者を対象としたケアをめぐる実践に関する情報収集に努める。さらに、欧米のムスリム・チャプレンに関連した文献調査も継続する。
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