研究課題/領域番号 |
20K12332
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
長 有紀枝 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 教授 (10552432)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | スレブレニツァ / ジェノサイド / ボスニア・ヘルツェゴヴィナ / 移行期正義 / ジェノサイド否定 / 記憶の戦争 / 犠牲者意識ナショナリズム / 国際刑事裁判 / 記憶 / 旧ユーゴスラヴィア国際刑事裁判所(ICTY) / 分断 / 表象不可能性 / 残余メカニズム / ジェノサイド予防 / 比較ジェノサイド研究 / 和解 / 分断と和解 |
研究開始時の研究の概要 |
1995年7月、ボスニア・ヘルツェゴヴィナのスレブレニツァ周辺で発生したセルビア人勢力によるムスリム人男性の虐殺は、凄惨なボスニア紛争の中でも、旧ユーゴスラヴィア国際刑事裁判所(ICTY)で唯一ジェノサイドと認定された象徴的事件である。スレブレニツァとはどのような事件であったのか、本研究では比較ジェノサイド研究の視点から事件のメカニズムの解明を試みる。同時に分断のただ中にある社会の和解と共生はどのような条件下で可能となるのか。分断の度合い、和解や共生の主体、程度、種類について、理論の構築を試みる。さらにこの理論化・普遍化の試みがジェノサイド予防や分断社会の和解や共生に資するのか仔細に検討する。
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研究成果の概要 |
ボスニア紛争の終盤、1995年7月にボスニアのセルビア軍の攻撃・処刑により、イスラム教徒約8,000名が死亡したスレブレニツァ事件は「第二次世界大戦以来の欧州で最悪の虐殺」と称され旧ユーゴ国際刑事裁判所で唯一「ジェノサイド」と認定された事件である。本研究は、事件の再構築と原因の解明を試みるとともに、「ジェノサイド」後の分断社会の和解と共生はいかなる条件下で可能となるのか、その検討を通じ、ジェノサイド予防や和解に資する理論を検討することであった。 前者については一定の成果を収めたものの、後者については事実認定や記憶をめぐる対立が、和解の阻害要因として機能しているさまを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国際社会からみたスレブレニツァ事件は、現在進行中のウクライナ戦争においても、ブチャの惨劇を前にウクライナ国防省が公式Twitterで「新たなスレブレニツァ」とつぶやくほど象徴的かつ政治的・歴史的に重要な事件である。そのため多方面の学術研究が、国内外で発展・深化を遂げる一方で、比較ジェノサイド研究の視点から発生メカニズムや実態の解明を試みることは、その行為自体が「ジェノサイドの否定(ディナイアル)」と認識され忌避される傾向にある。こうした状況下、自明のこととして問われることの少ない発生要因やメカニズムを、再発予防を目的に改めて検証し、一定の成果を上げたことに学術的、社会的意義があると考える。
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