研究課題/領域番号 |
20K12338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
森 明子 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (00202359)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ケア / ネイバーフッド / ベルリン / ジェントリフィケーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、移民が多く住むベルリンのインナーシティをフィールドとして、現代都市のネイバーフッドを民族誌研究のアプローチから分析することを目的とする。トランスナショナルな社会空間を生きる住民は、それぞれが場所に限定されない社会関係や経済関係のネットワークをもつが、その一方で、身体的にリアルな感覚をともなった場所におけるネイバーフッドも構成している。どのようなネイバーフッドが求められ、どのような行動がとられているのか、ケアの視点から街区のソーシャリティを検討し、現代都市の市民的共同性として想像されているものを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、移民が多く住むベルリンのインナーシティをフィールドとして、現代都市の街区の社会的連帯を、ケアの視点から記述する民族誌研究である。現代世界における市民的共同性として想像されているものを明らかにすることを目的としている。当初予定していた現地調査は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、前年度にひきつづいて困難であった。そのため、計画を部分的に変更して、理論的な研究を当初計画よりも深化させる方向ですすめている。 本年度は、オンラインで入手した新しいデータと、これまで行った現地調査で蓄積したデータをあわせて、グローバル化する世界における社会編成やケア論を洗い直し、再分析をすすめた。ケアの与え手と受け手の関係は、サービスのやりとりとしてだけでみるならば、平等ではありえないが、ケアのメカニズムは、この不平等な関係をヒエラルキーとして固定化させないことが特徴的である。経済的な不平等関係を、社会的な不平等関係として固定化させないメカニズムは、どのように作動し、あるいは、どのような状況で作動しないのか。このことを、さまざまなアクターのあいだに、どのようなからみあいが起こっているのかということから、明らかにしていこうとする。そこで、調査地街区の開発当初から所在する市場複合体の、21世紀にはいってからの再編成がどのように展開していったか、その過程を民族誌的に明らかにすることに焦点をあてる。再編計画をめぐる議論、運営と利用、その評価について、さまざまなアクターがどのように出会い、からまりあっているのか、分析をすすめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大のために、予定していた現地調査ができなかったことによる。現地調査に代わって、オンラインによって現地の情報を収集することにつとめた。また、これまで収集した調査データを洗い直し、再分析した。また、ケア、アッセンブラージュ、不平等、部分的連帯などをめぐる理論的研究について再検討することに力を注いだ。国内のさまざまな研究会において、他の研究者との意見交換を多く行った。これらによって、やや遅れがちではあるが、充実した研究ができている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の基本的な方向は、現地調査をもとに、オンラインも利用しながら調査データを集積し、分析していくものであるが、当初計画よりも、理論的な研究としての性格を強くした軌道修正を行っている。文献研究とデータ分析から、理論研究としての展開をはかっていく。その際に、ケアの実践に注目して、文化人類学のケア研究としての展開も意図している。ここから、社会的なものの編成についての理論的な貢献をめざす。コロナ禍のもとでの計画変更のなかで、可能な調査研究の方途をさぐりつつすすめている。
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