研究課題/領域番号 |
20K12343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮地 隆廣 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80580745)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ラテンアメリカ / 先住民 / 開発 / SDGs / FILAC / オルタナティブな開発 / 援助 |
研究開始時の研究の概要 |
文化多様性が重視される現在の社会言説が生み出される国際的契機の1つは、先住民の権利保障にある。先住民は1990年代の国際組織において脚光を浴びたキーワードであった。しかし、21世紀に入るとその存在感は失われた。こうした変化は、開発に関する指標が計測可能なものに共通化され、オルタナティヴな開発に関する理念が後退したことを反映しているという仮説のもと、それを検証する量的、質的データをもとに検証する。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、引き続き現地調査を実施することはできなかったが、オンラインで入手可能な資料を通じ、研究を推進した。対象となる先住民国際組織がSDGsに代表される主流の開発言説に同調する一方、国際組織に参加する政府や先住民組織では、SDGsとは異なる概念を用いて開発の在り方を唱え、場合によってはSDGsと対抗的な言説を持つようになっていることを確認した。
さらに、先住民組織が先住民の価値観に基づくオルタナティブ開発を唱える上では、ある種の先住民らしさを前提にすることが一般的である。しかし、その先住民らしさの内実をめぐる議論は常にあり、組織に参加する先住民の間のみならず、研究者をはじめとする組織の外部からの意見にも強く影響を受けている。昨今のSDGs言説もまた、外部の声のひとつとして理解でき、政権に関わるような先住民組織であるほど、先住民性をSDGsに積極的に言及する傾向があることも見出された。
2022年度には、研究成果の一部をもとに寄稿した先住民と法に関する書籍が刊行された。出版を果たした。また、これまでの調査の課程で意見交換をした研究者から招待を受け、人類学の国際ワークショップでの発表、国連関連組織である国連平和大学(UPeace) での招待講演、ボリビアの大学(Universidad Mayor de San Andres) の大学院博士課程での集中講義を各1件行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大が長期にわたり続いた結果、海外渡航を全く行うことができなかった。この結果、現地調査をベースにした先住民国際組織の研究は困難であり、これまでの遅れを取り戻すこともまた難しい見通しとなった。
一方、ボリビアを中心に、特定の政府や先住民組織に絞って、開発に関する言説の歴史的な変化を把握した。先住民国際組織がSDGsを全面的に受容した言説を展開したことと対比し、その変化は単線的ではなく、複雑さを確認できたことは成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の方針を継続し、新たな国や先住民組織に着目した。ボリビアは先住民組織と政府の距離が近いことから、それとは対照的に、政府と対抗する先住民組織に焦点を当てることを予定している。とりわけ、天然資源開発などでテリトリーの侵害を被っている先住民集団が参加している組織を扱う予定である。
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