研究課題/領域番号 |
20K12350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
江藤 双恵 獨協大学, 国際教養学部, 非常勤講師 (50376828)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 女性のネットワーク / コミュニティ福祉 / ケアボランティア / タイ / 地方自治体 / 福祉社会 / 女性 / 積善行為(タムブン) / 共通善 / 東北タイ / 女性グループ / ボランティア / 福祉政策のガバナンス / 女性支援 / 新型コロナ禍 / 人のつながり / 地域住民ボランティア / 第一線公務員 / コロナ禍 / ジェンダー / 家族 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢社会に突入しつつあるタイでは、村落保健ボランティアなど、地域住民の動員によって高齢者を含めた困窮者の支援に力を入れ、家族福祉の縮小に対応しようとしてきた。しかし、これらの施策は一部の女性の負担を増大させることが懸念される。 外国人労働者とその家族もその対象となるなか、地域住民の自発的な連帯と協働を中核とした福祉が実現するには多くの課題がある。村落保健ボランティア、また、軍事政権下(2014年~2019年) の「国家福祉カード」導入とその利用に関わる様々な実践事例などを通じて、女性のケア役割を軽減し女性の関心事を反映できるような、いわば持続可能な「コミュニティ福祉」のあり方について検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度は現地調査を3回行い、当初の計画の1から2年目で行う予定の調査研究が進捗した。現地調査は、2023年8月にコンケン県ムアン郡、バーンへット郡、ノンルア郡、2024年2月にシーサケート県ムアン郡、2024年3月にはブリラム県ノーンホン郡にて調査を実施した。各地にて、合計5自治体の管轄区域を訪問し、自治体首長・自治体議会議員、助役にインタビューを行い管理者としての立場から現地の福祉政策について聞き取りを行った。また、施策実施者側としては、コミュニティ開発専門職員、村落保健病院看護師、村落保健ボランティア、子ども開発センター(保育園)教員などへのインタビューを行い、福祉政策実施の現状について確認した。さらに、管轄区域内で脆弱な立場にあるとみなされている住民宅に訪問し、本人とケア者にインタビューを行って、介護や療養について実態を把握した。 女性のネットワークが重要なこと、福祉担当者が管轄区域内出身であるか否かで施策が変わること、村落保健ボランティアが月額1000バーツの報酬を得て、ひとりあたり10~13世帯を対象として脆弱な住民のケアを実施している状況に変わりはなかった。また、同じ村落保健ボランティアが新たな名称(高齢者ケアボランティアなど)での別途トレーニングを受け、報酬が加算される状況も変わりはなかった。2022年までのオンラインでの聞き取りに加えて顕著な変化は、シージー(care giver)と呼ばれる村落保健ボランティア養成が制度化が進んだことであった。シージーは、村落保健ボランティアの中から村落保健病院の看護師などから推薦を受け70時間の研修を修了し証明書を取得して一人当たり平均4、5件の要介護者(高齢者と寝たきりの病人)を担当する。制度化が進むにあたって、勤勉かつ積極的にこの職務に取り組む人もいるが、この仕事に魅力を感じない村落保健ボランティアも存在する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍によって現地調査ができなかったため、本研究は当初の2020年度~2022年度であったものから2年間延長申請をして、2020年度~2024年度へと研究期間は大幅に延びた。2023年度は、2022年度までにオンラインで回収したデータ、およびオンライン上で実施したインタビュー調査で把握していた状況の確認作業のための現地調査を3回(のべ24日間)実施できたので、当初の計画を2年遅れで達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに把握できた現地の状況について、2024年は7月に日本タイ学会で、8月にはタイ国チュラロンコン大学で開催される第7回アジア未来会議 (The 7th Asia Future Conference [AFC])、12月には東南アジア学会で発表を行い、日タイ両方の研究者や実践活動家との意見交換を行ったうえで、現地にて補足調査を実施する。3月までに最終報告書とそれに関連する研究論文をまとめる予定である。 なお、本研究の研究代表者の江藤は、大東文化大学の齋藤百合子教授が研究代表者を務める「定住外国人女性の生活史の研究ー日本在住のタイとインドシナ出身者の事例から」(基盤研究c)に研究分担者として参加しており、両研究には重複する部分が存在するが、研究成果については明確に区別して発表する予定である。すなわち、当該女性の生活史に関する部分は同研究の成果とし、当該女性を取り巻くタイ国内での福祉ネットワークについては、本研究の成果として発表する。
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