研究課題/領域番号 |
20K12363
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
|
研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
知花 いづみ 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 海外研究員 (70466069)
|
研究分担者 |
池上 寛 大阪経済法科大学, 国際学部, 准教授 (60450508)
今泉 慎也 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター グローバル研究グループ, 研究グループ長 (80450485)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 船員 / アジア / 労働市場 / フィリピン / 台湾 / グローバルガバナンス / 労働 |
研究開始時の研究の概要 |
海運分野においては外国人船員の増加によってグローバルな船員労働市場が形成され、なかでもアジア諸国が船員供給国として台頭している。労働分野では国際運輸労連と国際海運連盟による国際レベルでの労使交渉・労働協約が定着する一方、地域レベルでは、船員労働組合、海運会社など非国家アクターによる国境を跨いだ協力スキームが構築されてきた。こうした制度構築は、国際経済社会の管理や問題解決を目的とするグローバル・ガバナンスの向上にどのように貢献しているのであろうか。本研究では、フィリピンと台湾を主たる対象に、非国家アクターによって推進されてきた国際協力のための諸制度の形成過程に焦点を当て、その実態を分析する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、フィリピンおよび台湾を主たる対象に、移住労働者としての船員に関する制度および船員労働市場におけるグローバルガバナンスの構造を総合的に分析し、研究基盤を整備することを目的としている。2023年度は、コロナ禍後初めて台湾における現地調査を再開することができ、この調査を基に、台湾の港湾戦略とその国際的役割に関する研究を進めることができた。これらの調査は「国際的存在感の高まりと強靭性構築の模索」と題した共著論文および成山堂書店刊行の「東アジアの港湾と貿易」への寄稿論文において台湾のコンテナ港湾戦略に係る詳細な分析として発表された。このほか、複数の教育機関での講演を通じて、台湾の経済発展と交通インフラ、東アジアの経済とコンテナ輸送に関する知見を共有した。フィリピンにおける船員労働の研究では、船員としてのフィリピン人の労働状況に着目し、フィリピン海運業における人的要素を分析した英語論文を2点発表した。これらは、国際的な船員労働市場の構造とガバナンスに対する理解を深めることを目指しており、とくに日本商船隊とフィリピン人船員養成機関間の国際協力体制の構築や、欧州海事庁によるフィリピン海事行政への監査プロセスに焦点を当てている。また、現地調査の際に、フィリピン海事産業庁の高官との政策研究対話を行い、同庁主催のSTCW条約改正に関連するワークショップにも参加し、議論を深めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、新型コロナウイルス感染症の状況が改善されたことに伴い、台湾における現地調査を再開することができた。これにより、最新のデータ収集と現地での観察をふまえて以前に収集された情報との比較分析が可能となり、研究の質と精度が向上した。また、フィリピン現地調査においても、国際船員労務協会、フィリピン海事産業庁をはじめとする現地の関係者との直接的な交流を通じて、新たな研究ネットワークの構築と既存のコラボレーションが進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施された現地調査を通じて収集されたデータは、研究会の議論を具体的なものとし、理論と実践のギャップを埋める一助となっている。この進展は、現地での直接的なデータ収集の再開、データの定期的な更新、そして国内外の研究者や実務家との継続的な連携によって支えられている。今後も研究チームの柔軟性、迅速な対応能力、広範な協力関係に基づき研究活動を進めていく所存である。
|