研究課題/領域番号 |
20K12370
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 名誉教授 (50115789)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 民族間関係 / 森林物産 / 交易 / 労働力 / 排除 / 農業生産 / 流通 / 植民地期 / 狩猟採集民 / 農耕民 / 中央アフリカ / 植民地体制 / 歴史的変化 / 開発 / 自然保護 / アーカイブ資料 / インターネット / アフリカ / 不平等 |
研究開始時の研究の概要 |
アフリカにおける狩猟採集民と農耕民の不平等を孕んだ関係は何世紀も前からつづいてきたが、独立以降の国民形成期においても両者の不平等な関係は解消されなかった。最近では、自然保護や開発計画が浸透するなかで両者の対立関係が激化し、地域社会を不安定にしている。本研究ではこうした不平等な民族間関係の形成と変容の経緯を明らかにする。具体的には、当該国や旧宗主国に保管されているアーカイブ資料や国際機関・組織による報告書等の資料の収集・分析と、現地におけるフィールド調査を併用することによって、両者の不平等な関係の具体的なあり方とその変化を明らかにするとともに、両者の望ましい共存関係の在り方を追求する。
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研究実績の概要 |
ロンドン大学SOAS、British Library、フランスの人類博物館等において、アフリカ地域における狩猟採集民との農耕民との関係に関する資料収集をおこなった。また、前年度に引き続き、インターネットを介しての関連資料の収集と分析をおこなった。とくに初期の探検家、行政官の報告に現れた民族関係や、最近の自然保護計画や開発計画に伴う先住民問題や、地域社会における民族間の軋轢等に関して検討した。 コンゴ共和国北部-中央アフリカ共和国南部に住む狩猟採集民アカと農耕民との関係については、Bahuchet & Guillaume (1982) やGuillaume (2000)らのフランス人研究者らによる研究をもとに、両者の関係とその変遷について検討した。さらに、これらと17世紀以降の旅行家・探検家等による中央アフリカ各地に関する記録を比較検討し、狩猟採集民と農耕民の関係が西欧社会との接触以前‐植民地期‐脱植民地期においてどのように変化してきたのかを検討した。狩猟採集民と農耕民の間での森林物産の域内取引は以前から存在していたが、17世紀以降の西欧世界との交易がもっぱら農耕民を介して行われていたこと、とくに19世紀以降の象牙、コパール、毛皮などに対する欧米からの需要拡大に伴って、それらの採取(捕獲)に関わる狩猟採集民と、交易を担う農耕民の関係が緊密化する一方で、それらの流通を農耕民が独占し、狩猟採集民の外部社会との直接的接触が妨げられてきたこと、さらに植民地化以降の商品作物生産にともなう狩猟採集民の労働力に対するコントロールや、狩猟採集民の行政機構からの排除等を通して両者の間の不平等な関係が強化されたことなどを指摘した。 これらについて、2024年刊行の英文著書「Indigenous peoples and Forests」において1章を割いて論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2000-2002年度のCOVID-19による渡航制限及び自身の眼科手術の影響により、海外における現地調査及び資料収集が大幅に遅れた。2023年度には少しづつ海外における調査、資料収集を再開したが、遅れを取り戻すには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに実施できなかった資料収集などは予算を次年度に繰り越して行う予定である(繰り越し承認済)。 本研究による成果の一部は、2024年2月に刊行した英文図書の一部に組み入れたが、2024年度に開催される国際民族生物学会(於:モロッコ)、及び環境と紛争、社会的不平等をテーマにした国際会議(於:スペイン)においても成果を発表する予定である。
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