研究課題/領域番号 |
20K12380
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
鎌田 真弓 名古屋商科大学, 国際学部, 名誉教授 (20259344)
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研究分担者 |
村上 雄一 福島大学, 行政政策学類, 教授 (10302316)
藤岡 伸明 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40799962)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | オーストラリア / 日本人移民 / 日豪関係史 / 日本人商人 / 白豪主義 / 年季契約労働者 / 真珠貝採取業 / 国際労働移動 / 移民・労働政策 / 日本人商店主 / ワーキングホリデー制度 / 日豪関係 / 日本人出稼ぎ者 / 愛媛 / ブルーム / 国際労働者移動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、主に愛媛県出身の出稼ぎ者による日豪の国境を越えた地縁・血縁のネットワーキングに焦点をあて、国際的労働者移動にともなった現地での戦略的適応過程とその仕組みを明らかにする。具体的には、明治から昭和初期の郷北部地域での日本人商店主の活動に着目して、現地での経済活動、出稼ぎ者の募集と雇用、日本人会や投資会社の設立、ホスト社会との交流など、地縁・血縁的集団の動態と互助機能を実証的に検証する。 出稼ぎ者集団が現地社会に能動的に適応しようとした側面を掘り起こす作業を通して、国際的な労働者移動やわが国の「外国人労働者」問題に対しても、移動する人たちの視点にたった新たな視座を提供する。
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研究実績の概要 |
研究成果報告の一部を公開するために『移動と境界―越境者からみるオーストラリア』(昭和堂、2024年3月)の分担執筆に取り組んだ。さらにこれまで収集した文献・史資料を精察して発表・公開するとともに、オンライン形式の研究会で研究成果の共有と意見交換を行った。 鎌田は研究成果の総括として上記出版物の編集を行った。さらにコサック(西オーストラリア)およびダーウィン(ノーザンテリトリー)で真珠貝事業と商店経営を成功させた村松治郎に着目して、明治-昭和初期における出稼ぎ労働の展開に日本人商人が果たした役割を考察した。村松の係累の方々とのインタビューも継続して、デジタル化した写真類を編集、解説を付して公開した。 村上は資料収集を継続し、日本人と白豪主義の関係を日本人商店主の視点から考察した。加えてクインズランド州ブリスベンやタウンズビルでは田嶋商会に関する現地調査を行い、現場の状況を確認するとともに公立図書館・資料館で文献資料の収集を行った。 藤岡は現地調査を実施できなかったため、引き続き新聞記事、ニュース報道、先行研究等を通じてオーストラリアの移民制度・移民政策の現状と変化について分析を行うとともに、豪州との比較を念頭に浜松における外国人就労支援政策の現状を検討した。 松本は、明治期のクインズランド・木曜島および西オーストラリア・ブルームで活躍した日本人商店主と日本人労働者に関する関係文書の読み込みを行い、三瀬豊三郎と山本亀太郎に関する著述の翻刻を行った。田村は鎌田とともに故ノリン・ジョーンズ氏が収集した史料の一部を入手、その分析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナへの感染による分担者の体調不良も含め現地調査の計画立案が難しく、研究の進捗に支障をきたしたことは否めない。鎌田は国内で成果報告のまとめに専念し、藤岡も当該課題で予定している西オーストラリア州での調査は延期した。村上はブリスベン、タウンズビルでの短期調査を行った。研究会はオンライン使用で本年3月開催の1回にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者・協力者ともに、当該課題の中の各自のテーマで関連資料の収集と読み込みを行い、成果発表に向けて研究を継続する。 鎌田は、ダーウィンやブルームにおける日本人商店主の事業展開に関する調査を継続し、豪公文書館等のデジタル化済み史料の入手・分析を行うとともに、本課題の研究成果の総括と公開に向けて作業を行う。村上は、引き続き主に文献・資料調査を行う。昨今では日本でも国立国会図書館デジタルコレクション等、戦前の日本側資料のデジタル化も進んでいるため、日豪両国の史資料の比較検討を継続する。さらにデジタル化されていない資料の収集のために、令和6年度もオーストラリアでの現地調査を実施する予定である。藤岡は、農業や飲食業における労働のようにオーストラリア人が忌避しがちな労働の担い手の確保の観点から、オーストラリアの移民・労働政策を検証する。西オーストラリア州での現地調査を予定している。 松本は、真珠貝採取業基地であった西オーストラリア・ブルームとクインズランド・木曜島での日本人商人たちを比較し、明治期から昭和前期における日本人海外出稼ぎ地での商人の果たした役割を考察する。田村は、西オーストラリア州で所在が確認されている日本人商人および出稼ぎ者の記録や写真等の研究方法や保管に関わる課題を検討する。
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