研究課題/領域番号 |
20K12385
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
榎並 ゆかり 龍谷大学, 政策学部, 助手 (90843392)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ムリッド / 交易ディアスポラ / 交易仲介者 / セネガル出身交易人 / アジア・アフリカ間交易 / 広州 / 新型コロナパンデミック / バンコク / セネガル |
研究開始時の研究の概要 |
近年、セネガルの経済発展に貢献しているとされるムリッド(19世紀にセネガルで誕生したイスラーム信仰共同体)は、中国とアフリカ諸国との貿易において交易仲介者として活躍しているアフリカ交易仲介者グループの1つで、貿易統計には反映されないようなインフォーマルな交易活動、高いネットワーク構築能力を持つ。こうした背景にはムリッド信仰による強い連帯意識と旺盛なアントレプレナーシップがある。 申請者は、「中国製品の買付を目的に広州に拠点を築いたムリッドはグローバル経済の変化により次なる拠点へ移り交易ディアスポラとして存続している」という仮説を立て、広州、ムンバイなどのアジア都市での調査によりこれを検証する。
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研究実績の概要 |
新型コロナパンデミックの渦中の2020年、広州のアフリカ出身者の多くは本国に帰国することになった。広州での現地調査は中国の状況から実施していないが、広州在住の在留邦人に依頼し調査報告を受けている。そこで以前の調査地であるバンコクに筆者は注目し、2022年に引き続き2023年も11月にバンコクでの調査を実施した。バンコクでの前回調査は2022年11月、その前は2016年3月に実施している。2016年当時はBTSのNANA駅周辺にセネガル出身者のコミュニティが存在し、筆者は店舗を構えているセネガル出身者で、本国から買い付けに来る交易人を相手に商売しているブローカーとコンタクトした。他にもプロサッカー選手をめざすセネガルの若者たちとも出会った。ところが、新型コロナパンデミックの数年を経た2022年11月の調査では、以前のセネガル・コミュニティは完全に消滅し、一人もいなくなっていた。その1年後、2023年11月もやはりセネガル出身者に全く出会うことがなく、以前コンタクトした店舗は閉鎖されたままで、店主は帰国したまま戻っていないと周辺店舗のタイ人たちは証言した。バンコク在住歴の長いマリ人貿易商とコンタクトしたところ交易は継続されており、商品の配送倉庫がプラトゥーナム市場の裏通りにあるという情報を得たので訪問したが、責任者は筆者が知っているセネガル出身者からタイ人に替わっていた。このことから、交易の方法が大きく変化し、バンコクにおけるセネガル・コミュニティはもう復活しないのではないか、既に別の都市に拠点が移動してしまったのではないか、という調査結果(仮説)に達した。次年度は、まず香港のアフリカ出身者の交易渠底であるチョンキンマンションを調査し、セネガル出身者及び仏語圏アフリカ出身者とコンタクトをとり、新たな拠点都市の候補を探りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前半の研究期間は新型コロナパンデミックのため十分海外調査ができなかった。そのため課題に対する仮説の検証のための出張計画が遅延し、研究成果を学会発表や論文発表として発信することができていない。研究期間を1年延長し、海外調査と成果発信を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査結果から、バンコク、広州のセネガル出身者は戻っていないことが判明した。したがって調査地を広州、バンコクから他のアジア交易都市に移して調査を継続する。まず4月に香港の調査をおこない、調査対象をムリッドからセネガル出身者、西アフリカ仏語圏諸国出身者などの交易人に広げながら情報収集を行う。5月のアフリカ学会で中間報告を行う。同分野の研究者とも学会で交流し、得た情報をもとに新たな拠点がどこに移動したのかを探る。方法として、ドバイなど過去に筆者がセネガル・コミュニティ調査をおこなった交易都市に対象を広げる。仮説として、①取引方法の変容 ②仲介者の現地化 ③生産拠点の移動 ④交易拠点都市の移動などが考えられる。最終年度は①~④の仮説を調査により検証する。
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