研究課題/領域番号 |
20K12391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
安倍 誠 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 上席主任調査研究員 (90450478)
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研究分担者 |
柳町 功 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (60230273)
遠藤 敏幸 同志社大学, 商学部, 准教授 (20454481)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 韓国 / 財閥 / ファミリービジネス / 所有支配構造 / 継承 / 競争法 / ファンド / 経営者企業 / 継承パターン / 日韓比較 / 斗山グループ / 家族一体型継承 / 公正取引法 / 持株会社 |
研究開始時の研究の概要 |
韓国の財閥はオーナー家族が第三世代、第四世代に移行するなかで、家族持ち株比率の低下や家族経営者の資質の欠如といった問題を抱え、社会的な批判の高まりとそれを背景にした規制の強化にも直面している。本研究は、韓国財閥のファミリービジネスとしての存続可能性を、世代交代に伴う所有・経営支配構造の変化を中心に検討することを目的とする。具体的には、韓国財閥における第三、第四世代への継承過程とそれによる新たなオーナー家族による所有・支配構造の特質を、第一世代から第二世代への移行過程とそこでの所有・支配構造と比較しながら明らかにし、オーナー家族による支配上の問題を検討する。
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研究実績の概要 |
これまで韓国財閥の持続可能性について、創業者家族の所有・経営およびその継承のあり方、政府による規制および社会の受け止め方等の側面から検討をおこなってきた。具体的には研究代表者、研究分担者が研究課題の中でそれぞれのサブテーマを持って研究を進め、定期的な研究会の場で発表と討議を重ねてきた。研究代表者の安倍は2020年代の上位30余りの財閥の所有と経営を2000年代初めと比較した。その結果、創業者家族の支配および継承のあり方(家族の広範囲な所有・経営への参加と継承時の分割)には大きな変化はみられなかった。他方で変化した点として、①家族持ち分率は概ね低下する一方で内部持ち分率は横ばいないし上昇していること、②家族内での不和・対立が表面化したりオーナー経営者が不法行為で検挙される事例が増えていること、③年金基金、PEFなど国内外部株主のプレゼンスが拡大していること、④設立が比較的新しいIT企業等では家族の所有・経営は限定的であること、⑤女性の家族経営者が増加していること、などが明らかになった。研究分担者の柳町は、歴史が長く第4世代にまで継承が進んだLGグループと斗山グループをとりあげて、財閥においてもトップ経営者は常に経営能力や道徳性が問われていること、第4世代は経営能力の面でも道徳性の面でも問題が生じていることを明らかにした。同じく研究分担者の遠藤は、財閥の規制法となっている競争法、具体的には公正取引法のこれまでの改正の経緯を明らかにするとともに、創業者家族が不法行為をおこなう背景に相続税の高い税率があるとみて、その改善方法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度から新型コロナウイルスの感染拡大があり、2年半の間、実質的に現地調査や現地研究者との研究交流をおこなうことができなかった。ようやく現地調査を実施できたのは、当初計画の最終年度である2022年度の下半期からであった。延長した2023年度は、現地調査のさらなる実施とそこで収集したデータの検討で費やすことになった。そのため、まだ研究面で残された課題が多く、研究成果に関する現地研究者との討議や、研究成果の執筆はなされていない。残された課題としては、研究代表者の安倍は、先に示した近年の財閥の変化が財閥の根本的な転換(解体、専門経営者の経営の全面委譲、あるいは株式分散も含めた経営者企業への転化)につながるかその可能性の検討、研究分担者の柳町は、LGグループと斗山グループの近年の経営のあり方とそこでのトップ経営者の役割と問題点の導出、研究分担者の遠藤は公正取引法および同法施行令の近年の改正とそれが財閥の経営に与えるインパクトの検討、がある。
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今後の研究の推進方策 |
以上の進捗状況を踏まえ、研究期間を2024年度まで再延長した。今後の推進方策としては、以下のような研究スケジュールを設定して、それを着実に実行することとした。まず、研究代表者及び研究分担者はそれぞれ6月までに追加の現地調査や資料収集をおこなった上で残された課題について分析をおこなう。さらに8月までに神奈川もしくは千葉にて研究会を開催して研究代表者と分担者の間で相互の検討を行う。その検討結果を踏まえて9月から10月の間に追加調査及び最終分析をおこなう。11月に研究代表者と研究分担者がそろって訪韓して、現地の研究者と研究成果にかかわる研究会を開催する。その上で、年度末までに研究成果を論文としてまとめることとする。
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