研究課題/領域番号 |
20K12423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
鎌田 裕美 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (00456287)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 訪日観光客 / リピーター / 新型コロナウィルス / 再訪意向 / 顧客エンゲージメント / ノベルティ・シーキング / 行動要因 / バラエティ・シーキング行動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、訪日リピーターについて、「観光のリピート行動の要因は何か」の問いの下、とくにバラエティ・シーキング(VS)行動との関係に着目してリピート行動のモデル化を図ることを目的とする。 一般的に満足度が高いとリピート購買をすると言われているが、消費者行動分野の研究では満足度が高くてもリピート購買につながらないVS行動が指摘されている。本研究では、訪日リピーターへのインタビュー調査や観察等からVS行動との関係に着目してモデル化を図り、アンケート調査を実施し検証を行う。 研究成果は、訪日観光客のリピート行動の要因を明らかにし、観光地における訪日リピーター集客戦略に示唆を提供できると考える。
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研究実績の概要 |
訪日外国人観光客のリピーターを対象に研究をしているが、新型コロナウィルスの影響で日本は観光客を受け入れていない。そのため、顧客エンゲージメント研究を基に、コロナ禍で旅行できない状況でのエンゲージメントに着目し、リピーターの現在のエンゲージメント行動および訪日意向を調査して分析した。本研究では、マーケティングの研究者とともに議論、調査分析を行った、 顧客エンゲージメントは、先行研究において、認知的、感情的、行動的要素で分類されている。本研究では行動的要素に着目し、訪日できない期間でどの程度エンゲージメントが高まっているのか、また国境再開後に訪日意向があるかを調査した。さらに、観光分野のリピーター研究で研究されてきたノベルティ・シーキング(新規性追求)も導入し、エンゲージメントとの関係を調査した。対象は、台湾およびタイの訪日経験者と未経験者である。その結果、エンゲージメントの効果については、来日経験の有無を問わず、プラスの効果が見られた。これは先行研究でも明らかになっている通りである。同時に、ノベルティ・シーキングもプラスの効果が見られた。つまり、新しいことを体験することが好きな人は、海外旅行の意向が強いと言える。リピーターという点では、訪問回数が増えるほど、再訪はするが、エンゲージメント行動との結びつきが弱くなることが明らかになった。エンゲージメントを高めることだけでなく、新規性追求の欲求を刺激し続けることも重要だと言える。 ただし、課題として、再訪やノベルティ・シーキングの定義が異なる可能性が考えられる。Kamata(2022)で示している通り、同じ場所への再訪だとしても、観光客自身は時期や同行者が異なれば再訪と考えていない可能性がある。ノベルティ・シーキングでは、新規の訪問先という意味と、そこでの新しい経験という意味がある可能性がある。これらの点は、次年度での研究課題とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、訪日経験者を対象にアンケート調査を行い、再訪意向と行動要因を調査する予定であった。しかし、新型コロナウィルスの影響により訪日観光客が訪問できない状況が続いている。そのため、訪日できない状況下でのエンゲージメントとノベルティ・シーキングについて調査分析を行った。本研究の遂行にあたっては、マーケティングの研究者とともに議論、調査分析を行った。本研究の結果は、訪日観光客受入再開に向けて、とくに観光地の担当者がどのようにコミュニケーションをすればよいか、またノベルティ・シーキングに基づくコンテンツ開発を検討するための基礎的な情報となると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で述べた通り、再訪やノベルティ・シーキングの定義が異なる可能性が考えられる。この点について、より深堀をし、訪日観光客のリピーターに対する戦略の基礎となる研究を行う。具体的には、訪日経験者に対する調査を行う。調査方法はアンケート調査またはオンラインのインタビュー調査を検討している。 最終的に、顧客エンゲージメントとノベルティ・シーキングの関係を明らかにすることと、リピーターが考える再訪やノベルティ・シーキングの定義について明らかにすることを試みる。
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