研究課題/領域番号 |
20K12430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
田口 尚史 茨城キリスト教大学, 経営学部, 教授 (60530045)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 世界文化遺産 / サードパーティ・エンゲージメント / サービス・ドミナント・ロジック / ボランティア・エンゲージメント / プレイス・アタッチメント / ステークホルダー・エンゲージメント / 持続可能な開発 / ステークホルダーエンゲージメント |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、世界文化遺産の管理組織が彼らの利害関係者(来訪者、取引業者、地域住民、地元自治体など)を文化遺産の保全活動等に能動的に従事させることが当該文化遺産の持続可能な開発にどのように貢献するのかを解明することを目的としている。 この目的を達成するため、本研究では、国内の複数の世界文化遺産の管理組織とその利害関係者にインタビュー調査を行い、利害関係者が保全活動に従事する動機、活動内容、その成果を導き出し、それらの因果関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4年度は,世界文化遺産の維持および保全活動におけるサードパーティの関与に焦点を当て,世界文化遺産の維持および保全に携わる2つの団体にインタビュー調査を行った。1つは世界文化遺産のボランティア活動の企画や運営を行う公益法人で,もう1つは世界文化遺産の現場運営を行う民間企業である。いずれの団体も世界文化遺産の管理主体組織との取引関係にあるが,その取引の範囲を超えて世界文化遺産の魅力向上や維持および保全のために独自の取り組みを行っており,サービス・ドミナント(S-D)ロジック研究の中範囲理論であるカスタマー・エンゲージメント概念の世界文化遺産の文脈への適用可能性を示していた。 これらのインタビュー結果からサードパーティ・エンゲージメントの概念枠組みを開発し,その成果は『世界文化遺産の維持および保全へのサードパーティ・エンゲージメント』というタイトルで茨城キリスト教大学紀要第56号に掲載されている。 また,今回のインタビュー調査からは世界文化遺産の維持および保全活動に参加するボランティアたちの活動について新たな研究焦点を見出すことができた。インタビュー調査した世界文化遺産のサードパーティが実施しているボランティア活動に参加しているボランティアたちの中には毎年参加している人たちがおり,そうした人たちが繰り返しボランティアに参加する要因やボランティア活動の次世代への継承のメカニズムを解明する必要性を認識するに至った。環境心理学の分野では,ある特定の場所(例えば,観光地など)と自身との関係を心理的側面から探究する研究がある。今年度,2つの世界文化遺産へのインタビューを通じて,こうした他分野の既存研究で得られた知見を世界文化遺産へのボランティア活動に適用できる可能性を見いたすことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度も新型コロナウィルスの感染拡大によって移動が制限されたため,インタビュー調査を行う機会が少なかったことが主な理由である。オンラインでのインタビューも検討され,一部の被験者にはインタビューを実施することができたが,コネクションを持たない世界遺産へのインタビューについてはアポイントを取る術もなく,オンラインでのインタビューを実施することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究結果の一般化を実現にするため,できるだけ多くの世界遺産の担当者にインタビューできるように,引き続き世界遺産の担当者への協力を要請していきたい。世界遺産の担当者へのインタビューを進めると同時に,他方では,それと同時並行して,来訪者やボランティア側へのインタビューを進め,世界遺産の維持および保全にエンゲージメントする動機などの先行要因を明らかにしていく予定である。 計画の進捗はやや遅れているが,計画内容に大きな変更はなく,今後の定量調査に向けてインタビュー内容を基にした構成概念の構築とサンプルの収集が課題となるが,これまで協力いただいたインタビュー先の協力を得ることで,それらの課題に対応していきたい。
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