研究課題/領域番号 |
20K12463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
佐野 麻由子 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (00585416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 男児選好 / 階層 / 業績主義 / 競争主義 / 自己決定感 / 階層関係 / 社会的地位の上昇志向 / 家族規範 / 過渡的発展段階 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「貧困層、新興中間層、中間層、上層間の男児選好・ジェンダー平等の違いは、彼らのおかれたどのような社会構造や資源状況によって生起されたものなのか」という問いを起点に、「豊かになり生存的安心を得られることにより生存重視の価値観から平等主義を含む自己表現重視の価値観へ移行する」という社会変動モデルを提示した文化的進化論を批判的に援用し、ネパールでの量的・質的調査を通して、先行研究では検討されていない階層とジェンダー平等との関係性、ジェンダー平等を担保する社会的資源を明らかにする。そして、その研究成果を男児選好の研究分野のみならず、階層とジェンダー論、家族社会論に還元する。
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研究成果の概要 |
仮説の検証から(1)「経済的理由」による男児選好は下層において強いが、「家系的理由」「儀礼的理由」による男児選好は上層において強く、階層が上がるほど弱まるわけではない、(2)「男児選好度」は世帯所得があがるほど弱まるが、「家系的理由」による男児選好や「性別判定」は世帯所得があがるほど高い、(3)「業績主義」「競争主義」「自己決定感」は、いずれも「男児選好度」を低減させるが、「競争主義」は、「家系的理由」による男児選好に正の影響をもっている、(4)世帯所得が高い人ほど、結婚や出産を必須とする家族規範を支持する(豊かさが家族への依存を弱める「個人化」を促進するわけではない)という結果を導いた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義として、(1)グローバル化の進展に伴う階層の再編、少子高齢化や出稼ぎによる核家族化の進展のなかで、低層階級においては家族が個人にとって経済的な資源性を帯び、貧困を脱しつつある中間階級や貧困を脱した上層階級においては、地位上昇に関わる象徴的な資源となること、そうした家族の資源性に関わる戦略が男児選好に反映されている点、(2)したがって、階層が上昇するにつれ選好が弱まるという予定調和ではない点、(3)同様に、階層が上昇するにつれ、結婚や出産を必須とする家族規範が強まる点を明らかにし、先進国中心の社会学理論と男児選好の経済学、人類学的研究を相互に関連づけた点が挙げられる。
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