研究課題/領域番号 |
20K12466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
辻上 奈美江 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (30584031)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジェンダー / 中東 / 統治 / 再生産 / サウジアラビア / 起業 / 消費 / 労働 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、サウジアラビアを中心とする湾岸アラブ諸国における統治と消費の関連について、ジェンダーの視点から研究することを目的としている。申請者は、女性が主体的に関与する再生産領域のなかでも消費にあえて着目し、女性の消費が女性による起業を促進している現象に着目してきた。本研究では、これをさらに発展させて、生権力を掌握する為政者が、女性の購買力に着目し、消費を喚起してきた過程を詳しく検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、サウジアラビアを中心とする湾岸アラブ諸国における統治と消費の関連について、ジェンダーの視点から研究することを目的としている。本研究代表 者は、女性が主体的に関与する再生産領域のなかでも消費にあえて着目し、女性の消費が女性による起業を促進している現象に着目してきた。本研究では、これ をさらに発展させて、生権力を掌握する為政者が、女性の購買力に着目し、消費を喚起してきた過程を詳しく検討することを目的としている。 これまでの研究経緯を概観すると、2020年度(令和2年度)には、湾岸アラブ諸国の産油国の統治について検討する「レンティア国家論」に関連づける基礎研究を進めた。本研究では、国家資本主義の概念が本研究に有用であることが明らかになった。2021年度(令和3年度)には、引き続き基礎研究を進めるとともに、依頼出張を通じて、これまで代表者が重点的に調査してきたサウジアラビアの首都リヤドに加えて、バーハ州における女性の消費に関する知見が明らかになりつつあった。2022年度(令和4年度)には、基礎研究の発展、研究成果の発表および現地調査に重点を置いて研究を進めた。基礎研究については、Matthew GrayがEntrepreneurial State Capitalismと呼ぶところの、起業的国家資本主義の概念が本研究により親和性があることがわかった。また統治と、家計の支出との関連についてさらに検討を進めた。2023年度には、Pascal Menoretによる著書、Graveyard of Clericsの英語書評を投稿し、また北米中東学会のパネル・セッションでの報告を通じて、現在のサウジアラビアの「改革」期において、起業家や非起業家の女性がいかに社会的文化的価値観をすり合わせているかを、事例から明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教育や大学の学内業務、学会活動が占める比重が大きく、研究に割ける時間は限定的であった。 ただし、2022年度に参加した北米の中東学会(MESA)をきっかけに、海外のジャーナルに英語で書評を投稿する機会を得、また日本語で共著の書籍を出版することができた。11月には、北米中東学会でアメリカの研究者らとパネルを組んで発表することができた。 また、2023年9月にはスウェーデンにて関連する分野の研究者との意見交換をすることができた。2024年3月には、サウジアラビアにおいて短期間ではあったが現地調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、基礎研究、現地調査を同時進行しつつも、研究成果の発表に注力する。 現在のところ、2024年度には、日本中東学会第40回年次大会の企画セッションでの英語報告を申請、採択済みである。本報告では、本研究が主眼としている社会の自由化と消費主義化にともなう、価値観と規範の変化に着目して議論する予定である。 その他、現地調査、論文などの執筆を通じて、さらに研究を進める予定である。
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