研究課題/領域番号 |
20K12467
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
丸山 桂 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (30318878)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 金融リテラシー / ジェンダー / 加齢 / 近視眼 / 教育投資 / 資本資本 / 文化資本 / 金融リテラシ― / 社会保障 / 所得保障 / 格差 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、金融リテラシーのジェンダー格差の要因分析を行うものである。金融リテラシーとは、金融に関する知識・判断力のほか、家計管理、生活設計の能力や外部の知見の活用力など、生活の基盤をなす能力をさす。先行研究では、女性の経済困窮者が多い理由として、男女間の学歴や労働市場の参加程度の格差が着目されてきたが、近年では金融リテラシーの低さと経済的側面の不利益との関連性が指摘されている。 本研究は、既存調査の二次分析および独自のインターネット調査を通し、成人男女の金融リテラシー形成の要因分析、子どもの性・年齢別の金融リテラシーの形成過程の分析を通して、今後の教育、社会における具体的な支援策を提言する。
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研究実績の概要 |
本研究では、金融リテラシーのジェンダーギャップの要因を、実証分析から解明するものである。 第3年度目には、金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」(2016年、2019年)を用いて、金融リテラシーの男女差の要因を、金融知識の欠如と女性の自信のなさとの関係性、加齢に伴う男女の金融リテラシーの変化の測定という2つの研究を行った。 まず、金融知識の欠如と女性の自信のなさとの関連性を分析した結果、金融リテラシーの正誤問題の正答数は、金融知識の自認と数学力との有意な相関があり、正誤問題を「分からない」と回答するのは女性の方が高く、「分からない」と答える者の方が「誤答」を回答する者よりも、不利な金融行動の状況が明らかとなった。これは、昨年度に実施した、子どもの金融リテラシーの分析結果結果とも一致する内容であり、「分からない」と回答しがちな者が不適切な金融行動や消費者行動を取る傾向にあるのは、世代を問わず共通していることが確認できた(丸山 2022)。 また、加齢にともなう男女の金融リテラシーの変化に関する実証分析からは、高齢期になると男性よりも女性の方が金融知識の正答率の低下が顕著に見られること、また自身の金融知識を実力以上に高く評価する自信過剰バイアス、横並び傾向や近視眼的行動など、行動経済学で指摘される認知機能のゆがみがより強まる傾向があることが明らかとなった(丸山 2023)。金融リテラシーの低下と高齢者の経済的虐待には関連性があることが先行研究でも指摘されており、学校における金融教育には社会保障や社会福祉にかかわる事項も盛り込むべきことを提言した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は学会報告を1回、1論文を学術雑誌に掲載したが、当初予定していたアンケート調査の実施を翌年度に繰り越すことになった。金融リテラシーに関する調査の二次的分析は実施することができたが、2022年4月より開始された金融教育の義務化にともなう、教育現場における実際の金融教育内容の内容やその効果、問題点等をふまえて、調査票を大幅に再設計したほうが、適切な調査結果が得られると判断した。そのため、当初予定していたアンケート調査設計に時間を要すことになった。 2023年度において、アンケート調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、2022年度に実施できなかったアンケート調査の実施を予定している。そのために、アンケート調査案の設計と倫理審査の受審などを行う。また、その調査成果について学会報告や論文発表を行う予定である。 また、すでに実施した個票データの二次的分析の成果についても、学会報告や論文投稿を行う予定である。
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