研究課題/領域番号 |
20K12478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
横田 伸子 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60274148)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 女工文学 / 周辺部女性労働者 / 非正規労働者と正規労働者の連帯と組織化 / 同一産業同一労働組合 / 超短時間労働者 / インフォーマルでプレカリアスな雇用 / 地域コミュニティ / 社会運動ユニオニズム / 女性超短時間労働者 / ANU教職員組合 / 非正規・正規労働者の統一労働組合 / 韓国の周辺部女性労働者の組織化 / 地域コミュニティ運動 / 新しい社会運動 / ジェンダーの視点 / 日本の周辺部労働運動 / オーストラリアの労働運動 / 新しい労働運動モデル / 市民結社体 / 都市下層 / 社会的脆弱階層 / 超短時間・低賃金労働 / 法・制度、労働組合の保護からの排除 / 雇用されていない労働 / 韓国の周辺部女性労働運動 / 韓国の周辺部女性労働市場 / 女性非正規労働者 / 特殊雇用労働者 / 文在寅政権の労働改革 / 超短時間パートタイム労働者 / 韓国 / 女性労働運動 / 労働社会 / 労働市場構造 |
研究開始時の研究の概要 |
韓国の労働研究において、労働運動や労働市場の中心は男性正規労働者で、女性労働者は「周辺部」と捉えられてきた。とくに、1980~90年代の女性労働運動や労働市場構造について考察した研究は少なく、ほぼ空白となっている。本研究は、70~90年代の開発年代に経済発展のリーディングセクターでもあり、女性労働者が集中していた繊維産業と、伝統的に女性労働者の典型的職業であった家事労働に焦点を当て、80~90年代のそれぞれの労働者組織化・労働運動の特徴、労働市場の構造を明らかにする。さらに、80~90年代の周辺部女性労働運動が、98年の経済危機以降とどのような歴史的連続性や関連を持ったのかについても考察する。
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研究成果の概要 |
本研究の成果は次の3点である。①1980~90年代の韓国の周辺部女性労働者の「声なき声」を掬い上げる有効な方法として、従来の階級分析とは異なる、女性工場労働者が自ら執筆した小説、手記などを分析する「女工文学」という新たな視座を見出した。②韓国・日本との比較の観点から、オーストラリアの労働運動の事例分析を行い、非正規労働者と正規労働者の連帯の形成と両者の同一労働組合への組織化について考察した。③2000年以降、ケアワーカーや家事労働者などを中心に急速に増大している韓国の「超短時間労働者」の特徴と歴史的意味をジェンダーの視点から明らかにし、「協同組合」という新たな組織化の方法を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
まず、「女工文学」という新しい視座の発見によって、歴史の中でほとんど顧みられることのなかった韓国の女性工場労働者の声なき声を掬い上げ、彼女たちの主体的な生きざまをとらえ直す新たな分析方法を提供できた。次に、「同一産業同一労働組合」を体現するオーストラリアの労働運動との比較分析を通して、韓国と日本では困難な、非正規労働者と正規労働者の連帯を形成し、両者を同一の組合に組織する戦略を構築する重要な示唆を得た。第三に、韓国だけでなく、世界的に急速に増大している「超短時間労働者」の実態を歴史的に明らかにし、もっともインフォーマルでプレカリアスな雇用である、これらの労働者の問題解決の糸口を導き出した。
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