研究課題/領域番号 |
20K12480
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 筑紫女学園大学 |
研究代表者 |
赤枝 香奈子 筑紫女学園大学, 現代社会学部, 准教授 (00536576)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | セクシュアリティ / ジェンダー / クィア・スタディーズ / レズビアン / LGBT |
研究開始時の研究の概要 |
2010年代のLGBTブームを経たのちもレズビアンの可視化は大きく進んでいない。そこには日本社会の性をめぐる規範が影響していると考えられる。本研究は日本のセクシュアル・マイノリティにかかわるアクティビズムの中でジェンダーやセクシュアリティの問題がどのように議論されてきたかを考察し、それをアメリカの事例などと比較検討することで、より多くのセクシュアル・マイノリティを包摂するような運動のあり方を提示することを目指す。その際とくにレズビアンの歴史に焦点を当て、それが性をめぐる運動や研究に及ぼした影響を明らかにしつつ、ジェンダーとセクシュアリティにかんする議論を理論的、実践的に深化させることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究はクィア・スタディーズの観点から日本におけるセクシュアル・マイノリティにかかわる運動の歴史を再検討し、その課題を明らかにするとともに、性をめぐる規範を問い直し、ジェンダーとセクシュアリティにかんする議論を理論的、実践的に深化させることを目的とする。具体的には①文献調査およびインタビュー調査をもとに、日本におけるセクシュアル・マイノリティにかかわる運動の歴史とその課題を解明する、②クィア・スタディーズの知見を活かしながら、日本のレズビアン史を解明する、③日本のセクシュアル・マイノリティにかかわるアクティビズムをグローバルな視点から分析することにより、ジェンダー・セクシュアリティ規範に変容をもたらす方法を提示する。 2022年度は主に②③に関わる研究活動を行った。9月のカルチュラル・タイフーン2022では、「レズビアンとしての清岡純子とその活動」というタイトルで報告を行った(グループ発表「バイセクシュアル・レズビアン研究とフェミニズム」)。また3月には東京大学駒場キャンパスSaferSpace(KOSS)主催の学術イベント『「レズビアン」の歴史-知、出会い、排斥』において、「女性同性愛の可視と不可視」というタイトルで報告を行った。本研究の出発点として、日本のレズビアンにかんする歴史研究とLGBTアクティビズムとの間に乖離があるのではないかとの問題意識があったが、同イベントはこのような問題意識を共有しつつ、「レズビアン」に関する現在までの研究を概観する構成となっており、他の4人の報告およびその後の質疑応答を含め、充実した内容であった。 さらに、上記のような問題意識のもと、アカデミズムとアクティビズムを架橋し、新たな知の生産と社会変革のネットワークを生み出すための試みとして、シェリル・デュニエ監督『ウォーターメロン・ウーマン』(1996年)の上映会を京都と東京にて開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、コロナ禍により2020年度以降延期となっていたサンフランシスコやロサンゼルスなどでのレズビアンにかんする歴史資料のアーカイブ調査を2022年度に行う予定であったが、海外でのアーカイブ調査はまだ難しい状況であると判断し、実施をさらに延期したことや、日本のレズビアンにかんするアーカイブ用の資料をじゅうぶんに集めることができなかったことなどから、進捗状況としてはやや遅れている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は2022年度までの研究期間を予定していたが、1年延長して2023年度まで実施することとした。コロナ禍により延期したり、じゅうぶんに実施できなかった国内での文献調査やインタビュー調査を実施し、セクシュアル・マイノリティにかかわる、東京以外の地域での活動やアートやサブカルチャーの歴史の解明を引き続き進める。また、レズビアンに関連する文献資料やメディア資料の調査および収集、購入を行い、アーカイブ構築の作業を行う。2022年度に開催した『ウォーターメロン・ウーマン』の上映会をさらに複数会場にて開催するなどにより、アカデミズムとアクティビズムを架橋しつつ、より多くのセクシュアル・マイノリティを包摂するような活動のあり方を提示する。
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