研究課題
基盤研究(C)
本研究ではレーザー逆コンプトン散乱施設において得られる、偏光方向がそろった単一エネルギーの光子を用いて、光子と標的核との核反応による二次粒子の生成機構について研究を行う。この実験で得られる二次粒子の生成データは、医学・理学・工学で用いられている数10 MeV(メガ電子ボルト)の電子加速器に対する遮蔽設計において放射線・放射能の生成を見積もるために必要である。本研究では、二次粒子のうち光子の偏光の影響を受ける成分と受けない成分を分離して、そのエネルギーと角度分布を広範に測定し、系統的データを得る。このデータに基づき光子の核反応モデルの改良を行い、電子加速器施設に対する遮蔽設計の高度化をはかる。
光子が原子核に入射し引き起こされる光核反応からの二次粒子生成について、入射光子の偏光依存に着目し研究を行った。入射光子エネルギーを13, 17, 20 MeVとして、中性子生成二重微分断面積の系統的実験データを取得した。生成された中性子に偏光依存成分と依存しない成分が存在すること、偏光依存成分の入射光子エネルギー、放出角度、ターゲット原子核依存の有無を明らかにした。複合核からの粒子放出に用いられる核反応モデルの計算結果、データライブラリと実験値の比較を行い、偏光依存成分の再現の程度が明らかになった。シミュレーション計算により偏光依存成分のコンクリート遮蔽透過後の線量への影響を明らかにした。
光核反応の研究は1950年代から行われてきているが、単一エネルギーの入射光子に対して、偏光依存の中性子生成二重微分断面積データを与えたのは初めてである。このデータによりこれまで出来なかった微分データによる理論計算とデータライブラリの検証が可能になった。また、この光核反応は国内で多数利用されている電子加速器において、遮蔽設計を行うために重要である。今回のデータを利用し、これまで考慮に入れられて無かった偏光依存成分が遮蔽設計へ及ぼす影響を明らかにすることが出来た。
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Proceedings of Symposium on Nuclear Data 2022, 17th - 18th November, KINDAI University, Osaka, Japan (Accepted)
巻: -
EPJ Web of Conferences , Proceedings of International Conference on Nuclear Data for Science and Technology (Sacramento, CA, United States of America, July 24 - 29, 2022) (Accepted)
Proceedings of Symposium on Nuclear Data 2020, 26th - 27th November, RIKEN Nishina Center, RIKEN Wako Campus, Wako, Saitama, Japan
巻: JAEA-Conf 2021-001 ページ: 189-194
Proceedings of the 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan, October 18 - 21, 2022, Online (Kyushu University)
巻: PASJ2022 WEOA09 ページ: 70-74
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 989 ページ: 164965-164965
10.1016/j.nima.2020.164965
Proceedings of Symposium on Nuclear Data 2020, 26th - 27th November. (accepted)
http://rcwww.kek.jp/research/archives.html