研究課題/領域番号 |
20K12501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
平出 哲也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (10343899)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 水 / OHラジカル / 水クラスター / スピン相関 / スピン交換反応 / ポジトロニウム / ヒドロキシルラジカル |
研究開始時の研究の概要 |
水に入射した陽電子(電子の反物質)は水分子の中の電子と結合してポジトロニウム(Ps)を形成する.一方,水分子は電子が1つ欠けており,直ちにOHラジカルが形成される.結果,Ps中とOHラジカル中の電子は同じ軌道内にいた記憶が残り,PsによるOHラジカルの検出で,遠方のOHラジカルと区別できる.この機構を使ってOHラジカルの拡散を知らべると,水の塊の存在によって,OHラジカルの長距離拡散が阻害されることがわかった.生物の体液は塩分を含んでおり,その結果水分子は塊となっている.そこで,生物の体液を模擬した試料中においてDNAなどの損傷の原因となるOHラジカルの長距離拡散が阻害されるのか検証する.
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研究実績の概要 |
令和3年度に続き、令和4年度もコロナ感染拡大の影響で調査や外国出張は出来なかった。令和2年度に計数率の向上を行った、陽電子消滅寿命-運動量相関(AMOC)測定装置を用いて、継続して純水の測定を行った。10℃以下ではOHラジカルの長距離拡散が抑制され、かご効果によりスピン相関のある電子が存在するOHラジカルと三重項ポジトロニウムとのスピン交換反応で一重項ポジトロニウムへの変化する確率の増大が明確に現れ、10℃で水クラスターの形成が起こることを示してきた。このかご効果の存在は、一重項ポジトロニウム収率を増大させるため、水クラスターの存在を示すことができ、10℃以上でも壊れない新しいクラスター構造が存在することを示してきた。令和4年6月にAMOC装置にトラブルが発生し、現在、AMOC実験は中断している。 これまでの実験は環境中の水を模擬するために解放されている状態であり、このクラスター構造の出現には水中の二酸化炭素の影響が存在する可能性がある。水中の二酸化炭素の状態が関連する場合、地球温暖化対策へと波及する可能性があり、pHの変化を測定することで、二酸化炭素の状態について検討を行った。その結果、10℃以上でクラスター構造が維持される場合、pHの温度依存性が異なる可能性があることが明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、当初計画していた調査などを実施できなかった。現状、実施可能な研究内容から対応している。研究に使用するAMOC装置の予期せぬトラブルが発生したこともあり、当初計画に対しては、やや遅れているという状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度においては、対面で行われる国際会議参加等実施の予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で実現しなかった。今後についても、欧米での物価上昇が著しく、予定していた国際会議参加は困難であり、参加は見合わせる方向である。研究は実施可能な研究内容から進めている。本研究で使用していたAMOC装置の陽電子線源のトラブルで、AMOCに関する実験は止まっていたが、新たに線源を入手して再開の予定である。
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