研究課題/領域番号 |
20K12523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 福岡看護大学 |
研究代表者 |
門司 真由美 福岡看護大学, 看護学部, 准教授 (80527002)
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研究分担者 |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
青木 久恵 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (70526996)
三好 麻紀 福岡看護大学, 看護学部, 准教授 (00595259)
窪田 惠子 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (20309991)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 病院食 / トレイ / 赤のトーン / 味覚 / 食の印象 / 皿の形状 / 量感 / デルブーフ錯視 / 食環境 / 入院患者 / 高齢者 / 食欲 / 色彩 / 印象 / おいしさ感 / well-being |
研究開始時の研究の概要 |
入院患者の食事摂取量の減少や高齢者の低栄養傾向は、病気回復やQOL向上に大きく影響する。そのため、患者や高齢者に食べたいという気持ちにさせる食環境つくりは、取り組むべき課題の一つである。本研究では、病院や介護施設での食環境つくりの一つとして、患者や高齢者を対象に異なるトーンのトレイや形状の異なる皿を用いて食事の印象やおいしさ感や量感等を調査し、食欲の低下している患者や高齢者の食欲促進につながる効果的な「トレイの色彩」や「食器の形状」を提案する。
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研究実績の概要 |
入院患者の食事は病気回復の源であるため、食欲を増進させる食環境の工夫が求められる。本研究では、患者の食欲を促進させる食環境として、トレイの「色彩」に着目した。 色相赤(多くの病院ではピンク)のトレイは、老若男女問わず病院食のトレイ色として推奨されているが、赤のトーンを変化させた場合の印象(味覚的印象、食の雰囲気や嗜好、食の環境に関する印象)の違いについて明らかにされていない。これまで、若年男女を対象に、10トーンの赤と無彩色のトレイに病院食を載せた 11サンプルの写真の印象について調査し、若年男女に推奨できるトレイ色は、低彩度で高明度の薄い赤であることを明らかにした。 本研究は、入院患者だけでなく高齢者施設の高齢者の食欲促進にも効果的なトレイの色彩を明らかにすることを目的としていることから、これまでの若年男女を対象にした調査と同様の調査を健康な高齢男女を対象に行った。その結果、味覚的印象については、甘味は明るい赤、苦味は暗い灰みの赤、辛味は暗い赤、うまみは薄い赤で感じられ、若年男女と同様に、色相赤は多様な味覚を連想させた。また、鈍い赤に対し、高齢男性群は高齢女性群より、うまみや辛みの印象を有意に抱いた。11種の異なるトーンの赤色トレイについての印象を比較した結果、高齢女性群の回答は、高齢男性群より「どちらでもない」を中心に幅が小さいことが認められ、高齢男性群の方が、11種のトーンの赤色に対し、異なる印象を感じていることが推察された。因子分析の結果、「和やかで健康的な食環境」と「家庭向けの食環境」が抽出された。2因子の平均因子得点が高いトレイ色は、薄い赤、柔らかな赤、あさい赤であり、高齢者のトレイ色として推奨できることが認められた。一方で、2因子の 平均因子得点が低いトレイ色は、明るい灰色、明るい灰みの赤であり、高齢者のトレイ色として推奨できないことが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、入院患者や高齢者施設の高齢者の食欲促進に効果的な「トレイの色彩」や「食器の形状」を明らかにすることを目的としている。 2020年度は、若年男女と高齢男女を対象に、異なるトーンの赤色トレイに載せた病院食の印象(味覚的印象、食の雰囲気や嗜好、食の環境に関する印象)について調査を実施した。2021年度は、「食器」の形状や大きさが異なる皿に料理を盛り、量感(大きさ)や美味しさ感にどのような違いがみられるか分析し報告した。また、2022~2023年度は、異なるトーンの赤色トレイに載せた病院食に対し、若年男女それぞれが抱く印象についての調査結果を分析し報告した。さらに、高齢男女が抱く印象についての調査結果を分析し報告したため、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、異なるトーンの赤色トレイに載せた病院食の印象(味覚的印象、食の雰囲気や嗜好、食の環境に関する印象)について若年男女と高齢男女を対象に調査を実施した。2022~2023年度は、異なるトーンの赤色トレイに載せた病院食に対し、若年男女や高齢男女が抱く印象について、それぞれの世代別に分析するとともに、世代別に性差がみられるかについて分析した。その結果、味覚的印象については、老若男女ともに、色相赤は多様な味覚を連想させていた。しかし、薄い赤に対して、若年者は甘味を感じ、高齢者はうまみを感じていた。このように、高齢者と若年者では、味覚的印象に差異がみられた。また、先行研究において、トレイの色彩嗜好には、年齢による差異が認められていることから、今後は、これまでの調査結果をもとに、若年男女と高齢男女が抱く印象について、世代間にどのような違いがみられるか明らかにする。
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