研究課題/領域番号 |
20K12532
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉本 美貴 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (00635047)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 琳派 / 日本美 / プロダクトデザイン / ユーザーインターフェース / 造形手法 / 工芸 / 美意識 / 造形 / UI / インダストリアルデザイン |
研究開始時の研究の概要 |
日本は依然「ものづくり立国」であり、今後もコンテンツやサービス事業の強化と共に、製造業の持続的な成長・発展が不可欠であるが、近年、家電製品や自動車などの工業製品での日本の独自性が失われ、国際競争力が低下してきている。そうした中、日本の美意識は日本が活用すべき貴重な資源として注目に値する。 そこで本研究は「ものづくり立国・日本」の新成長に向けた価値創造の一助として、工業製品デザインにおいて日本の代表的な美意識の一つである「琳派」の美意識を対象に、工業製品の外観デザインで「琳派」の美意識を表現するための造形手法を明らかにすることを目的とし、その事例となるデザイン提案を行い、国内外に発信する。
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研究実績の概要 |
先行研究により作者が工芸出身である琳派の作品は工芸の影響を受けていると言われていることから、工芸の技法に着目し、琳派作品に多く見られる工芸作品について、東京国立博物館および京都国立博物館で行われた琳派展で共通して展示された作品56点を調査対象に、表現特徴についての専門家の作品解説から表現特徴を抽出した。 次に、分類した表現特徴ごとに見られる具体的手法を類似したものでまとめ、その表現手法が使われた要因を明らかにするために、表現特徴と工芸との関係を考察した。その後、考察した表現特徴の要因と照らし合わせた7つの表現手法を、琳派の特徴を表現するデザイン手法として導出した。 ①単純化のための具体的な表現手法として、【輪郭表現】【省略】【濃淡】【滲み】【極端】の5件を導出した。② 図案化のための具体的な表現手法として、【記号化】【同じ形の繰り返し】【人為的な配置】の3件を導出した。③斬新な構図のための具体的な表現手法として、【クローズアップ】【トリミング】【特異な分割】の3件を導出した。④ 立体意識のための具体的な表現手法として、【表裏の利用】【構造の利用】【手順の利用】の3件を導出した。⑤ 素材活用のための具体的な表現手法として、【新素材】【新しい組み合わせ】【新工法の採用】【素地の利用】の4件を導出した。⑥ 相対性のための具体的な表現手法として、【形で対比】【色で対比】【質感で対比】【同調させる】【絵と文字が融合】の5件を導出した。⑦破調のための具体的な表現手法として、【再構成】【脱定番】【暗示する】の3件を導出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査と現物調査により、昨年度の計画で予定していた琳派の作品調査と工芸の造形手法についての不足分についての調査と研究協力者の学生を交えたアイデア検討を行った。それにより琳派の造形手法の導出と、それに基づき事例となる琳派を表現したデザイン案の創出までは完了している、一方で、コロナ感染症対応のため有識者とユーザへの検証が計画通り進まなかったことやや遅れているが理由である。しかしながら、今後はコロナ感染症対策が緩和されたことで検証活動を進めることができることから、遅れを取り戻すことができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
制作しているデザイン事例についてのブラッシュアップし、有識者およびユーザー検証を実施する。その結果から、導出した造形手法の要件を必要に応じて修正する。その後、一連の内容について論文執筆し、国内外の学会等で広く公表する。
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