研究課題/領域番号 |
20K12542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉田 右子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30292569)
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研究分担者 |
川崎 良孝 京都大学, 教育学研究科, 名誉教授 (80149517)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アメリカ / バルト諸国 / 公共図書館 / ラトビア / ノルウェー / フィンランド / デンマーク / スウェーデン / 北欧 / 文化保障 / 北欧公共図書館 / アメリカ公共図書館 / ラトビア公共図書館 / エストニア公共図書館 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では情報・文化へのアクセスを担保し自律的な学習機会を平等化する公共図書館を「文化保障装置」と位置づけ、公共図書館制度の再定立を試みる。世界を牽引する二大公共図書館モデル(1)コミュニティ自律型(アメリカ型)(2)国家関与型(スカンディナビア・バルト型)に着目し、これらを歴史社会学的分析アプローチから検討する。さらにラトビアおよびエストニアにおける情報アクセスの拠点としての公共図書館政策の展開を解明する。最終的に情報と文化のアクセスに関わる文化保障をキー概念として、21世紀の社会的・文化的変化に耐えうる強靭な公共図書館の理念的基盤を再構築し、日本の公共図書館に研究成果を還元する。
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研究実績の概要 |
(1)コミュニティ自律型モデルの解明:アメリカ公共図書館を「コミュニティ自律型モデル」として歴史空間的発展を中心に俯瞰し、文化拠点としての公共図書館のありようを検討した。具体的には、アメリカで伝統的に自律的な生涯学習スペースとして利用されてきた図書館の集会室の使われ方をアメリカ図書館協会の方針を通して歴史的に跡付けることで、公共図書館の理念の一端を同定した。(2)国家関与型モデルの解明:スカンジナビア・バルト諸国の公共図書館に関わる文化関係財の公正的配分に関わる政策を明らかにするために、デンマークの文化政策における図書館振興策について調査を進めた。具体的には、「デンマーク図書館サービス法」に基づく公共図書館・教育学習センター開発補助金に係る脆弱層に対する政策的展開を調査し、デンマーク公共図書館の社会的公正の具現化への中心戦略に、脆弱層の包摂と集中的なリソースの投入が存在していることを明らかにした。(3)ラトビア出版・文化政策と公共図書館の実態調査:ラトビア・リーガにおいて、ラトビア国立図書館への訪問調査を行ない、国立図書館の歴史、概要、現在の活動状況、サービス、利用者の特徴、運営方法等について基礎データを収集し、ナショナルレベルにおける図書館政策の実態を整理分析した。またリーガ中央図書館およびリーガ中央図書館分館への訪問調査を行い、歴史、概要、現在の活動状況、特徴あるサービス、利用状況、本館・分館の運営分担やサービスの実態を明らかにし、基礎自治体における図書館政策の実態を整理分析した。さらに前年度から引き続き、ラトビアの図書館政策、出版・読書活動の現況について文献調査・ウェブサイト調査を実施し、ラトビア図書館界と読書推進活動に関与する関連機関の活動や図書館界との連携について分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1)コミュニティ自律型モデルの解明と(2)国家関与型モデルの解明については、それぞれ研究が進展している。しかしながらCOVID-19による海外渡航規制により、当初予定していたバルト諸国におけるフィールドワークの計画が大幅に変更となった。公共図書館の実態調査をラトビアのみに絞って、2023年8月に実施したが、その取りまとめに時間がかかったため当初予定していた研究課題の遂行に関して遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の課題としてこれまでの研究成果を統合し文化保障装置としての公共図書館が図書館制度・社会環境との均衡状態を保持しつつ成立する条件を、(1)コミュニティ自律型モデル(アメリカ公共図書館型)および(2)国家関与型モデル(スカンディナビア・バルト型)それぞれについて示し、「情報・文化へのアクセスの公平性を担保し、学習機会を平等化する<文化保障装置>としての公共図書館はどのような文化制度であり、どのようにその文化制度を実現すべきか」という本研究の学術的問いに解を与える。COVID-19のため遅れていた海外渡航を2023年度にラトビアにおいて実施することができたため、2024年度はその調査結果を総括し、ラトビア図書館の活動を19世紀後半から現在まで歴史的に跡付けることにより、国家関与型モデルとして設定したバルト型モデルの実態についてまとめる。最終的にコミュニティ自律型モデル(アメリカ公共図書館型)および国家関与型モデル(スカンディナビア・バルト型)2つのモデルを俯瞰し、公共図書館モデルの普遍性と地域特性についての結論を導出する。
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