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機械と人間との感性および創造性の異同をめぐるネオ・サイバネティクス的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K12553
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
研究機関山梨英和大学

研究代表者

大井 奈美  山梨英和大学, 人間文化学部, 講師 (50635026)

研究分担者 河島 茂生  青山学院大学, コミュニティ人間科学部, 准教授 (00453449)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード創造性と感性 / 生命情報 / ネオ・サイバネティクス / 生成AI / 自律性 / 情報文化 / オートポイエーシス / 生命論的情報美学 / 情報と創造性 / 社会情報学 / 感性 / 人工知能 / ネオサイバネティクス / 創造性 / 機械
研究開始時の研究の概要

本研究の問いは、「創造性や感性の上で、人工知能(AI)に代表される機械と人間との異同はどのようなものか」である。近年、機械による創作が注目されており、また、生命や自由意志等の人間性の基本にかかわる観念が機械論的立場から問い直されている。本研究は、人間の生命や自由意志等の典型として、創造性や感性に注目する。「ネオ・サイバネティクス」、特に「オートポイエーシス」 概念に基づき、芸術を研究対象に、機械と人間との創造性の異同を比較検討する。多様な文化の共生に必要な「普遍的理念」が希求されるグローバル社会において、機械的なデータや数値だけでなく「生命尊重」を根拠とする新たな普遍性を提案したい。

研究実績の概要

本研究の目的は、人間と機械の創造性および感性の差異に注目し、それを理論的に明確化した上で、生きるうえでの意味や価値を重視する、情報社会の新たな価値観構築に寄与することである。

本年度は、研究チームによる定期的な研究検討会を継続し、研究発表/講演5件・論文1件・書籍2件の成果をつうじて、専門的議論の精緻化と一般向けの成果還元を達成できた(一般向けの成果還元に関連して、研究チームのメンバーによる『人間非機械論:サイバネティクスが開く未来』(西田洋平著、講談社、2023年6月)の書評執筆(『図書新聞』3619号、大井奈美執筆)も通じて、研究成果をわかりやすく社会に還元するよう努めた)。また、最終的な成果書籍の完成に向けて、研究チームメンバーによる共同の学会発表で本研究の論点と方針を発展的に再整理した(情報文化学会・全国大会)。さらに、成果書籍の企画および目次の作成・各章の論文内容の具体化・出版社の決定・刊行スケジュールの決定を、チームメンバーおよび編集者の方々と共に行い、書籍刊行に向けて具体的に前進できた。

こうした成果をつうじて、人間と機械の創造性および感性について考察するにあたり、生きるうえでの意味や価値の典型として「美」や「倫理」をめぐる課題に注目して、情報をめぐる美学や倫理学の観点もあらたに導入することとなった。具体的には、従来の情報美学や情報倫理学を、生きることすなわち生命論の観点からさらに発展させることで、現代の創造性や感性について考察を深めた(「生命論的情報美学」の提案につながる考察)。この方向性は、今まで研究チームとして中心的に取り組んできた人間と機械をめぐる自律性の違いに根ざし、それをさらに展開するものである。生命尊重という倫理的観点からの創造性および感性の再位置付けという本研究の意義は、AI時代に一層高まっていると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の主な成果として、研究チームメンバーによる共同学会発表、および最終的な成果書籍の具体化が挙げられる。その他にも、研究発表/講演5件、論文1件、書籍2件において、専門的議論の精緻化と一般向けの成果還元を行うことができた。

加えて、国際的な研究成果として、科研費番号を明記できなかったものの、次のものが挙げられる。Yuk Hui ed. Cybernetics for the 21st Century Vol. 1: Epistemological Reconstruction著者名 Daisuke Harashima(分担執筆:第11章”Life-in-formation: Cybernetics of the Heart”)総ページ数 272、出版社 Hanart Press.

以上のように、本研究課題の最終的成果の一つとなる書籍の具体的構想が整い、すでに動き出していること、研究の国際的連携が進みつつあることから、全体として順調に研究を進展できていると考えている。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策は、次の二点を段階的に進めていくことにある。

第一に、本研究課題の最終成果の一つとなる書籍について、研究メンバーによる各章の執筆を進め、完成させることである。これには、情報と創造性・感性とをめぐる理論上の検討だけでなく、芸術・デザイン・環境論・ビジネスなどの応用課題への取組みも含まれる見込みである。2024年度中に「はじめに」「おわりに」および索引などを含む全ての原稿の完成を目指し、研究・執筆を進めている。

第二に、国際的な研究発表の場を設け、本研究課題の総合的成果を広く国内外に還元すると共に、国際的な対話によるさらなる研究発展を促進することである。Cybernetics for the 21st Century Vol. 1ですでに開始している国際交流をさらに展開させる方針で、研究発表の場の具体的な構想に着手している。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (32件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 1968 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (7件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 思想 (527)1968

    • 著者名/発表者名
      原島大輔
    • 巻
      1198
    • ページ
      -
    • DOI

      10.11501/3199226

    • ISSN
      0386-2755
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 『人間非機械論』からのディスカッション:科学的な認識論の転回としてのネオ・サイバネティクス2024

    • 著者名/発表者名
      西田洋平
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会 連続研究会「情報と創造性」第12回
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 生成系AI時代における人間の創造性と共創2023

    • 著者名/発表者名
      河島茂生
    • 学会等名
      TUFS vs AI(東京外国語大学多文化共生イノベーション研究育成フェローシップ・学際研究共創センター共催)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 人間と機械の創造性の異同:情報と文化の創出をめぐるネオ・サイバネティクス的考察2023

    • 著者名/発表者名
      大井奈美,原島大輔,椋本輔,西田洋平
    • 学会等名
      情報文化学会第31回全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 生成系AIと人間の創造性2023

    • 著者名/発表者名
      河島茂生
    • 学会等名
      一般社団法人応用脳科学コンソーシアム アドバンスコース「脳を育む」第五回
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] AI倫理の本質2023

    • 著者名/発表者名
      河島茂生
    • 学会等名
      東京理科大学オープンカレッジ 2023年12月15日
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 機械の創造性を支える人間の創造性2023

    • 著者名/発表者名
      河島茂生
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会/情報システム学会基礎情報学研究会/青山学院大学革新技術と社会共創研究所、合同連続研究会「情報と創造性」第11回
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Life-in-formation: Cybernetics of Heart2022

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Harashima
    • 学会等名
      Art, Technology and Philosophy Symposium (II) Cybernetics for the 21st Century
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 情動論的転回・再考2022

    • 著者名/発表者名
      原島大輔
    • 学会等名
      日本メディア学会2022年春季大会ワークショップ
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 生命とコミュニケーションについての創造的再考:ネオ・サイバネティクスを応用した芸術実践の試み2022

    • 著者名/発表者名
      西田騎夕
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会/情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第10回
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 先端技術とクリエイティビティ2022

    • 著者名/発表者名
      河島茂生
    • 学会等名
      一般社団法人応用脳科学コンソーシアム アドバンスコース「脳を育む」第3回
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ポイエーシスと創造性――ネオ・サイバネティクスによる整理2022

    • 著者名/発表者名
      西田洋平
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会+情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第7回
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 「想像力の環境」をめぐる自律性と他律性――ネオ・サイバネティクス的文学研究の見地から2022

    • 著者名/発表者名
      中村肇
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会+情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第8回
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 感性についてのネオ・サイバネティクス的一考察2022

    • 著者名/発表者名
      原島大輔
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会+情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第9回
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 経済社会の情報ネットワーク化による「価値創造する市場」の成立─―基礎情報学との接合についての試論2021

    • 著者名/発表者名
      安藤元博
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会+情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第5回
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 情報教育における情報と創造性2021

    • 著者名/発表者名
      木次智子・勝田浩次
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会+情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第6回
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 創作のこころといのち2021

    • 著者名/発表者名
      原島大輔
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会+情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第2回
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] サイバネティック・パラダイム時代の芸術性と共感性:〈私的なるもの〉に関する身体性の剥奪と美的共有に関する基礎情報学的考察2021

    • 著者名/発表者名
      中村 肇
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会+情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第3回
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] デジタル機械情報と意味と価値2021

    • 著者名/発表者名
      椋本 輔
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会+情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第4回
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 「創造性の根拠としての階層性」:生成変化としての創造性を促進させるケアとしての階層 性について2020

    • 著者名/発表者名
      大井奈美
    • 学会等名
      社会情報学会(SSI)学会大会・プレカンファレンス「テクノロジーと人間との創造性: その異同ならびに連動する作用」2020.9.4
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 「クリエイティブな仕事」に人間は必要か?: デジタルデータという機械情報の観察者2020

    • 著者名/発表者名
      椋本 輔
    • 学会等名
      社会情報学会(SSI)学会大会・プレカンファレンス「テクノロジーと人間との創造性: その異同ならびに連動する作用」2020.9.4
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 創造性の因果律2020

    • 著者名/発表者名
      原島大輔
    • 学会等名
      社会情報学会(SSI)学会大会・プレカンファレンス「テクノロジーと人間との創造性: その異同ならびに連動する作用」2020.9.4
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 創造性をめぐるシステム進化と階層性2020

    • 著者名/発表者名
      大井奈美
    • 学会等名
      ネオ・サイバネティクス研究会+情報システム学会基礎情報学研究会、合同連続研究会「情報と創造性」第1回
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 『未来社会と「意味」の境界:記号創発システム論/ネオ・サイバネティクス/プラグマティズム』2023

    • 著者名/発表者名
      谷口忠大, 河島茂生, 井上明人, 西田洋平, 加藤隆文, 長井隆行, 原島大輔, 佐治伸郎, 三宅陽一郎, 山中司, 椋本輔
    • 総ページ数
      180
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      9784326603602
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 『AI×クリエイティビティ:情報と生命とテクノロジーと。』改訂版2023

    • 著者名/発表者名
      河島茂生・久保田裕
    • 総ページ数
      116
    • 出版者
      京都芸術大学 東北芸術工科大学 出版局 藝術学舎
    • ISBN
      9784909439703
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 駒村圭吾 編著, 井上明人 [ほか] 著『Liberty 2.0:自由論のバージョン・アップはありうるのか?』2023

    • 著者名/発表者名
      河島茂生(分担執筆:第4章)
    • 総ページ数
      350
    • 出版者
      弘文堂
    • ISBN
      9784335359347
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『人間非機械論:サイバネティクスが開く未来』2023

    • 著者名/発表者名
      西田洋平
    • 総ページ数
      325
    • 出版者
      講談社
    • ISBN
      9784065317785
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] ユク・ホイ著、原島大輔訳『再帰性と偶然性』2022

    • 著者名/発表者名
      原島大輔(訳)
    • 出版者
      青土社
    • ISBN
      9784791774463
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 西垣通編『AI・ロボットと共存の倫理』2022

    • 著者名/発表者名
      河島茂生(分担執筆:第1章「人間と機械の連続と非連続、そして倫理」)
    • 出版者
      岩波書店
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 門林岳史・増田展大(編)『クリティカル・ワード メディア論』2021

    • 著者名/発表者名
      原島大輔(分担執筆:第2章「知能」)
    • 総ページ数
      295
    • 出版者
      フィルムアート社
    • ISBN
      4845920069
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] digital-narcis.org

    • URL

      https://digital-narcis.org

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] 2020年 社会情報学会(SSI) 学会大会プレカンファレンス

    • URL

      https://socio.xrea.jp/ssi2020/static/program/pre-conference/

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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