研究課題/領域番号 |
20K12554
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
斎藤 進也 立命館大学, 映像学部, 准教授 (70516830)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | デジタルヒューマニティーズ / ゲームエンジン / 質的調査 / インフォグラフィックス / インタラクティブCG / 可視化 / 情報デザイン / 質的分析 / 文化情報 / 質的研究 / データ可視化 / CG |
研究開始時の研究の概要 |
質的調査法とデータ可視化の融合に着眼点を見いだし、人生や社会を考えるため新たな方法を提示する。技術的な背景として、Unityに代表されるゲームエンジンを用いたインタラクティブな操作を伴うCGが、ゲームに限らず医療や建築など多分野で活用される傾向を踏まえ、本研究もこうした技法を取り入れる。質的調査法には多様な手法があり、その全てを対象には出来ない。そこで、「図などの視覚表現が用いられており、CGで拡張しやすい手法」や「紙ベースで考察結果が示されるが、CGを導入することで格段に成果伝達の精度や効率が向上すると考えられる手法」といった観点から対象を絞り、それを支援するツールを実装する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、ひきつづき、ゲームエンジンによる3D表現を活用した人文社会科学領域の調査の支援という課題に取り組んだ。過年度からの継続課題である「コンテンツ」面の拡充、すなわち、実際の人文社会科学系の研究実践の文脈とそこで取り扱う資料・データを、本研究に組み込んでいくことに力点を置いて研究を進めた。具体的には、立命館大学アート・リサーチセンターにおいてデジタルヒューマニティーズの観点から進められている写真アーカイブ構築や映画館文化研究における資料分析といった研究実践を対象としつつ、ゲームエンジンによる3D表現を用いた資料閲覧支援についてシステム開発を進めた。また、ゲームテクノロジーをより広く活用するためのインクルーシブなデザインのあり方についても過年度から引き続き考察を行い、ゲームスタディーズ関連の国内学会や情報処理学会のシンポジウムINTERACTION 2024にて成果の報告を行った。また、質的調査法の拡張の観点でゲームエンジンを活用するノウハウを多くの研究者と共有するため、「人文社系/人間科学系研究者のためのゲームエンジンガイド」というセミナーを立命館大学ものづくり研究センターのイベントとして開催した。なお、新型コロナウイルスの影響で、課題期間の再延長を行ったため、2024年度が最終年度となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の通り、「コンテンツ」面の拡充が進んだことで、研究プロジェクトは最終的なフェーズへと進んだといえる。すなわち、ゲームエンジンによる3D表現を活用することにより、実際の人文社会科学系の研究実践の文脈とそこで取り扱う資料・データを、把握や分析の支援を行う枠組みが概ね整備され、実践的な試用からその有用性を考察していく段階に入った。ゲームエンジンを用いて、複数の異なるフォーマットの資料を3D空間内にオーサリングし、3Dの年表や関係図を用いて閲覧を支援することが、人文社会科学系の具体的な研究プロジェクトにおいてどのような利点を有するものなのかという点が目下の考察ポイントになっている。具体的には、写真アーカイブ構築や映画館文化研究における資料分析といった研究実践と連動させつつ、どのようなプロセスや局面において、どのような視覚的あるいはインタラクションによる支援が効果を発揮するかについて知見の導出が進んでいる状況である。新型コロナウイルスの影響で、課題期間の再延長を行ったため、次年度が最終年度となる。次年度は、研究成果をまとめ論文として発表するとともに、VRやメタバースといった新しいプラットフォームの活用可能性についても発展的トピックとして最後に検討を加える。
|
今後の研究の推進方策 |
推進の方策として、「コンテンツ」と「システム」を往還しつつ、インタラクティブCG技術による支援を効果的に用いて人文社会科学系の研究実践を行う一連のプロセスをモデル化し、その有用性を考察することに力点をおいて、最終年度の研究に取組む。また、これまで開発を進めてきたシステムの運用・発信のプラットフォームについて今後の発展可能性を吟味する。その中で、VRやメタバースといった先端的なプラットフォームを活用することで、よりインパクトのある運用を実現する可能性について検討する。また、最終年度ということで、本研究の一連の成果がどのようの学術的意義を有するのかについても考察し、学会や研究会などで報告を行う。本研究の知見は、デジタル・ヒューマニティーズ、情報学、質的心理学といった複数の学術領域に貢献しうると考えられるため、各領域に対する研究者との交流を行い、成果報告を行う。
|