研究課題/領域番号 |
20K12561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
新藤 透 國學院大學, 文学部, 教授 (30433676)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 通俗図書館 / 地方改良運動 / 民力涵養運動 / 読書指導 / 戦時期の読書指導 / 小松原英太郎 / 新潟県積善組合 / 私設千野図書館 / 文部省示諭 / 井上友一 / 水野錬太郎 / 国民読書運動 / 近代図書館史 / 国民国家 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、近代日本の国民国家形成期に図書館がどのような機能を果たしたのか、 文献史料を用いて実証的に解明することである。 本研究の対象期間は、特に政府が図書館を使って民衆を「教化」した時期が2つ存在しているので、それらを重点的に行う。1つは、日露戦争後に起こった官製運動の地方改良運動である。2つめは1940年代のアジア太平洋戦争下での文部省主導による国民読書運動である。 本研究の独自性と創造性は、この2つの期間に行われた図書館を利用しての国民教化プログラムと、実際に実行された事例を分析する事によって図書館を通じて政府はどのような「国民」を形成しようとしたのかその思想とプロセスまで明らかになる。
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研究成果の概要 |
第二次世界大戦前の日本政府は、図書館振興策について基本的に関心を寄せていなかった。本来は図書館の所轄官庁ではない内務省が、地方改良運動や民力涵養運動を実行するための機関として図書館を増やすことに熱意を注いでいた。その目的は、読書を趣味とする教養ある「日本国民の創出」であった。この政策に大正時代に入ると文部省も参入することになる。ところが1937年の日中戦争以降は、読書行為が戦争遂行のために利用されてしまい、当初の目的とは逸れ、国家への「御奉公」が目的になってしまった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在は市民の自発的な学習やレクリエーションのための施設として図書館は存在しているが、第二次世界大戦前の日本ではそのような役割は存在していなかった。ただ注意しなければならないのは、「日本国民の創出」という目的で設置された図書館であっても、地域住民が利用しやすいように大衆文学や実用書などの所蔵、蓄音機や卓球場の附設、はては浴室まで設けるなどの工夫を凝らした図書館も存在したことである。これらは図書館利用を気軽にするための措置である。今日の図書館に通じる側面もあったことを見逃してはならない。戦前と戦後に日本図書館史は分断されているのではなく、受け継がれている側面を明らかにしたことは意義深いといえる。
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