研究課題/領域番号 |
20K12565
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
福田 智子 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (50363388)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 百人一首 / 源氏物語 / 歌仙絵 / 歌留多 / 装束 / 香道 / データベース / データサイエンス / 古今六帖 / 源氏絵 / 和歌 / 宮廷文化 / テキストマイニング / 字母 / 伝統文化 / 仮名 / 変体仮名 |
研究開始時の研究の概要 |
西洋化が急速に広まる近代日本において、爆発的な勢いで製作されたのが「歌留多(かるた)」であった。古典文学の注釈が影を潜めるこの時期、日本古典は、歌留多の文字や歌意絵(和歌の挿絵)の中に生き続けたのである。そこに、日本文化の本質がある。 しかし従来、必ずしも歌留多文化の系統立った研究はなされてこなかった。そこで本研究では、歌意絵入り『百人一首歌留多』5種を対象に、文学・雅楽・儀礼・美術・芸道の5つの分野から横断的に研究する。 また、収集した資料は、分野相互に関連付けてデータセットとして整備する。これは、AI戦略2019において提唱されたデータサイエンス科目の教材としても利用可能である。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、2020年度から3年計画で開始したが、新型コロナウィルス感染症の影響のため、1年間、研究期間を延長していた。だがそれでも、本格的な活動がままならなかった数年間を取り戻すことが難しく、「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う科学研究費助成事業の補助事業期間の延長の特例」により、さらに1年間の研究期間延長を申請し、受理されている。 さて今年度は、まず共編著を1冊上梓した。これは本研究課題に至るまでの一連の科研共同研究の成果であり、同志社大学人文科学研究所部門研究会の活動成果でもある。 また、全3回の研究集会において、計17件の研究発表および講演を行った。その成果は、論説1編、資料紹介5編として発表している。歌意絵入り『百人一首』についての考察を継続している他、歌仙絵の装束についても、有職を専門とする研究者を新たにお迎えし、その知見を考察に加えている。なお、矢野環氏の講演については、ご本人の了承のもと、録画をYouTubeにて公開している。 そして今年度は、奈良絵本『竹取物語』を調査する機会に恵まれた。その上、『竹取物語』の絵画化に関して長年研究してこられたゲスト講師をお迎えし、所蔵機関からのご助力により、解説を録画することもできた。 さらに、アウトリーチ活動としては、「香りでつづる京の四季」と題して、香道伝書研究者と農学研究者とをゲスト講師としてお迎えし、主として同志社大学・同志社女子大学の学生を対象として、『薫集類抄』をはじめとする伝書をもとに、薫物作成ワークショップを4回にわたり行った。季節に合わせて「盧橘(はなたちばな)」「荷葉」「菊花」「梅花」の薫物を作成したが、このうち薫物「荷葉」のワークショップについては、「京都新聞」朝刊 市民版(2023年7月25日)に「平安京の「香り」学生ら再現 同志社大 ハスになぞらえ「荷葉」調合」という見出しで紹介されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は、日本伝統文化の分野横断的研究とデータサイエンス教材作成の二本の柱で構成している。前者については、2023年度から新たに有職や香道伝書に関する有識者が参加し、また、農学研究者も本格的に参加するようになって、より分野横断的な文化交流・知識交換ができるようになった。また、歌意絵入り『百人一首歌留多』を中心とした和歌史料のみならず、『源氏物語』の他、『竹取物語』といった平安朝物語の絵画化をも視野に入れることで、近世から近代に至る日本伝統文化の有機的な広がりが、徐々に把握できるようになってきた。 その一方で、それらの情報のデータベース化は遅れていると言わざるを得ない。これは、文系分野の研究の広がりとともに、扱うデータの分量が増大していくのに対して、データベース構築のための基礎作業を担うはずの学生アルバイトの人数や活動時間が、安定的に確保できなかったことが理由のひとつであると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の収束に伴い、2023年度は研究集会も完全対面で行うことができ、文献調査も実施しやすくなってきた。そのため、2024年度は、『百人一首』の歌意絵や歌仙絵の画像を中心として、データベースの輪郭と基礎の形成に重点を置いた活動を進める。データの内容については、文化系の各分野を専門とする研究者が集う研究集会の頻度をさらに増やしていきたい。 また、データベース構築のための学生アルバイトについては、コロナ後の新たな学びへの移行もあり、2024年度もじゅうぶんな人数と作業時間を確保するのは難しいのではないかと思われる。そこで、画像処理を専門とする情報科学研究者を新たに加えて知見を得ることも視野に入れる。実際の作業については、外部のSEにある程度委託することも考える。
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