研究課題/領域番号 |
20K12571
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
福田 玄明 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (40615100)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | 記憶色 / 認知科学 / 認知神経科学 / 実験心理学 / 色知覚 / 心理物理実験 / 脳機能計測 |
研究開始時の研究の概要 |
我々が物体の色を知覚するとき、基本的には物体の表面の光の反射特性によって見える色が決まる。一方で、古くから我々の記憶や知識が色知覚に影響することが知られている。これは記憶色と呼ばれ、古くから知られているが、その認知メカニズムは未だ明らかになっていない。我々は、記憶色を生じさせる新しい錯視現象を発見した。この錯視を調べることで記憶色のメカニズム、ひいては、知覚という低次の知覚処理が記憶や知識という高次の認知処理から影響を受ける仕組みを明らかにすることが期待できる。
|
研究実績の概要 |
記憶色と呼ばれる、色の知覚に我々の知識や記憶が影響する現象が知られている。例えば、リンゴの画像がより赤っぽく感じられるというように、知覚される色が、既知の対象の典型的な色の方向にずれて感じられる現象である。記憶色は古くから知られる効果であるが、そのメカニズムには議論があり、大きく分けて、(1)本当に典型的な色が対象から知覚されている、(2)事前の知識が反応自体(言語化など)をバイアスしているという2つの可能性が議論されている。 我々はこれまでに、この記憶色との関連が想定される、新しい錯視現象を発見した。この新しい錯覚現象を用いて、記憶や知識が色の知覚に影響を与えるメカニズムを明らかにすることが本研究の目的である。これにより、記憶や知識にかかわる高次の認知過程がより低次の知覚情報処理に与える影響の仕組みを調べることができる。 2022年度は、本実験を開始し、予備実験とモデルの解析から想定されていた、知識が事前のバイアスとして与える影響とその知識により、記憶色に対応する色についての情報収集がブーストされることとの2つの効果により、錯覚現象が起こっていることが明らかになった。具体的には、ドリフトディフュージョンモデルにおける、初期位置での偏りを示すパラメータとドリフトレートをあらわすパラメータの両方が、知識の影響を受けることが明らかになった。これは、典型色が実際に知覚されていることを示し、さらに、同時に事前バイアスも存在することが示された。また、我々のモデル化により、これらを量的に扱うことができ、さらなる分析の可能性を示唆している。今後は、事前知識の違いを確認するための追加実験を行う予定である。 なお、日本認知科学会全国大会、および、日本認知科学会の知覚と行動モデリング研究会で、関連研究についての発表を行い、今後の論文化のための有益な意見を収集することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度までは、コロナ禍の影響もあり、実験を対面で行うことが難しく、進捗が大きくおくれていた、2022年度においては、順調に実験を進めることができた。課題としては、予定していた国際会議での発表がまだ行えていないことがある。これは2023年度の冬以降、積極的に参加することで、初期の遅れを取り戻す予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、実験結果をさらにより良くしながら、成果の発表と論文化に取り組む。また、当初予定していた脳機能計測については、本学、脳科学研究センターの設置が遅れており、2023年度中の使用は不可能となることが見込まれる。他機関(東京大学・理化学研究所)の協力を得ることで2023年度中に、脳機能計測にも取り組みたい。
|