研究課題/領域番号 |
20K12574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
河地 庸介 東北大学, 文学研究科, 准教授 (20565775)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | シーン知覚 / シーン記憶 / 画像統計量 / 心理物理学 / テクスチャ合成 / 認知神経科学 / 実験心理学的計測 / 脳機能計測 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトが1度に知覚・認知できる物体数には限りがあるという報告は数多くあるが、実際にはヒトは数多くの物体に満ちたシーンの詳細に至るまで知覚・認知しているというように主観的には感じている。すなわち実証的な知見と主観的体験には乖離がある。本研究は、彩り鮮やかなシーンの知覚という主観的体験がいかに生成されるのかの検討を通してこの乖離の解消を目指す。そして、心に抱くシーン表象が実際に含む情報種・情報量を明示することで、運転作業等での行動指針の提供、拡張現実等における新たな価値創造につなげていく。
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研究成果の概要 |
同時に処理できる物体数に制限がある視覚系はいかにして彩り豊かなシーン知覚を生み出すのか。本研究では,シーン知覚に関わる情報処理過程を理解するための実験研究を展開し,以下の成果を得た。(1)シーン知覚は視野全域にわたって一度に生成されるのではなく,中心視野から周辺視野へと次第に生成されていく。(2)視覚情報のみで十分可能なシーンカテゴリ判断課題であってもシーンと一致する聴覚情報によってシーン情報の処理が促進される。(3)シーン記憶の空間解像度は,オリジナルの解像度よりも高められた形で再認される。(4)シーン画像の有彩色の中心領域に関する記憶は,その領域が周辺部に拡大された形で再生される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
視覚系の情報処理における限界と我々の主観的に彩り豊かなシーン体験の乖離に関する理解を深めることは,運転行動等の瞬時判断が要求される作業場面での行動指針の提案、円滑な日常行動を促す環境をデザインする人間工学分野にも新たな視点の提供が期待できる。またAI(artificial intelligence)によりヒトの知覚認知を予測する際に、シーンに関わる情報種・量の制約条件を明らかにすることで計算負荷の大幅な削減ができる可能性がある。ヒトの知覚体験の限界を拡張するAR(augmented reality)技術に関連して、シーン知覚を豊かな体験に昇華させる条件を知ることは新たな価値創造のシーズとなる。
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