研究課題/領域番号 |
20K12595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小関 道彦 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (50334503)
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研究分担者 |
高橋 淳 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60345741)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | バイオメカニクス / 脊椎側弯症 / 有限要素解析 / 側弯症 |
研究開始時の研究の概要 |
側弯症手術は長い固定範囲に多くのスクリューを挿入する侵襲が大きい手術である。侵襲を軽減するためには真に必要な位置にのみスクリューを挿入することが望ましい。本研究の目的は、臨床画像に基づき脊椎の固さパラメータを抽出し、そのパラメータを用いた手術シミュレーションにより最適かつ低侵襲な固定範囲を決定する手法を確立することである。医工連携の研究体制を通じ、臨床画像に対する工学系の解析技術の適用を強力に推進し、患者別模型を用いた実験と解析結果を比較することで手術シミュレーションの信頼性を確保する。
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研究実績の概要 |
本研究では、側弯症に対する外科的治療の侵襲を低減する方法について計算機シミュレーションを援用して検討し、短い固定範囲で十分な矯正効果を得る新しい手術手法を提案することを目的としている。本年度は、以下の3項目について検討を実施した。 [1] 昨年度の検討で構築した、肋骨と胸骨からなる胸郭を含むモデルを用いた応力解析を行った。脊椎の側弯・椎骨の回旋・肋骨の隆起という側弯症患者の特徴的な姿勢は、胸郭を付した解析モデルの脊椎を側弯させても椎骨の回旋・肋骨の隆起は再現できないが、胸郭の移動を制限することにより側弯症患者の上体姿勢に類似する形状を再現した。これより、胸郭の変形のしにくさが側弯症患者特有の上体姿勢に影響していると示唆された。この結果について学会発表を行った。 [2] 昨年度の検討で実施したX線CT画像に基づくモデルを用いた解析手順は、高額なソフトウェアと多大な工数を要するものであり、単一の症例しか分析することができず臨床活用は難しいものだった。そこで本年度は、特別な工学的知識をもたない医師にも活用可能とすることを目的として手法の簡便化を試みた。フリーソフトウェアを用いて少ない工数で昨年度の検討結果と同等な結果を得る手順を確立し、複数の症例に適用した。その結果、短い固定範囲で手術した後に側弯が増悪したいずれの症例でも固定範囲の変形は小さいことを示した。この結果について学会発表を予定している。 [3] シミュレーション結果の検証に用いる脊椎模型においては、脊椎の変形のしにくさ(固さ)の設定が重要となる。周囲の筋腱などによって決まる脊椎の固さを椎間板に代表させて表現した模型を構築し、模擬手術実験を実施した。脊椎を後方から固定する方法および前方から固定する方法の2つの術式に対して適用し、両者ともに臨床例と類似した結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、3つの検討を並行して実施することにより、そのうち2つの課題に対して学会発表を行える成果を得ることができた。しかし、これらの3テーマを統合することはできておらず、このため当初の本研究の目的である、側弯症に対する最適かつ低侵襲な固定範囲の導出に至っていない。このため進捗状況は「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に3テーマの検討内容の統合を行う予定としていたが、テーマごとに統合前に検討すべき事項が検出され、それらに取り組んだことにより上記の成果が得られた。次年度に、[1]で構築した解析モデルの妥当性を[3]の実験モデルで確認するとともに、[2]の臨床データと比較することにより、これまでの検討内容を統合し、側弯症に対する新しい術式の提案を行いたい。
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