研究課題/領域番号 |
20K12623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
白吉 安昭 鳥取大学, 医学部, 准教授 (90249946)
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研究分担者 |
經遠 智一 鳥取大学, 医学部, 助教 (60730207)
森川 久未 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (90707217)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ヒトiPS細胞 / 心筋細胞 / オルガノイド / 蛍光タンパク質 / ペースメーカ細胞 / 心筋 / イオンチャネル / 心臓前駆細胞 / 分化誘導 / ヒト多能性幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
生体の心臓は、4種の主要なサブタイプ心筋(心房筋、心室筋、洞結節ペースメーカ細胞、刺激伝導系細胞)から構成されている。本研究では、これら各種サブタイプ心筋を素材として用い、再組立することによって「心臓オルガノイド」と呼ばれる3次元組織の作製を目的とする。まず、心臓オルガノイド作製のための基盤技術として、ヒト多能性幹細胞(ES, iPS細胞)を用いて、心臓の主要な構成要素である4種のサブタイプ心筋の選別採取法の開発を行う。さらに、作製した各サブタイプ心筋の特性解析による評価を試みた後、解剖学的情報を基に再構成(再配置)にすることによって、心臓オルガノイド(ミニ心臓)の作製などを試みる。
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研究実績の概要 |
心臓オルガノイドは、1)素材細胞の再組立、2)in vitroで1次心臓領域(FHF)と2次心臓領域(SHF)に存在する心臓前駆細胞からの発生によって作ることができる。そこで、本研究では、4種の主要なサブタイプ心筋(心房筋、心室筋、洞結節ペースメーカ細胞、刺激伝導系細胞)と、2種類の心臓前駆細胞を、ヒトiPS細胞から作製することを目標としている。 まず、ヒトiPS細胞に由来する各種サブタイプ心筋を分取し、電気生理学的特性などを解析した。その結果、HCN4/Shox2共陽性細胞として、70~80%の割合で洞結節ペースメーカ様細胞(以下、ペースメーカ細胞)を選択的に分取することに成功した。残り細胞は、心房筋あるいは心室筋様の活動電位を示した(Wakimizu et al. 2022)。そこで、ペースメーカ細胞の識別法を検討したところ、AIによる画像解析法によって、ペースメーカ細胞が他の心筋細胞から区別できることを明らかにすることができた。MLc2a/Mlc2vの共陽性細胞として、心房筋様細胞が優位に濃縮されるが、この心房筋様細胞を用いて、心房細動に関連するPPRX1転写因子が、Kv1.5などのイオンチャネルの発現制御に関わっていることを明らかにした。 一方、HCN4-EGFP陽性細胞としてはFHF、Islet1-mCherry陽性細胞としてSHFの前駆細胞を分取できる。本年度は、さらに解析を進め、mCherry陽性細胞がまず出現してくること、分化誘導後3週間くらいでEGFPとmCherry陽性細胞は、相互に排他的に発現するようになり、それぞれFHFとSHF前駆細胞マーカーを発現することを明らかにすることができた。 なお、これらの組み合わせによるオルガノイド形成については、顕著な進展が見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)本年度は、調整法の目処が立っていない刺激伝導系細胞の分取法の開発を試みた。具体的には、刺激伝導系マーカー遺伝子であるminK遺伝子座に蛍光タンパク質をノックインしたヒトiPS細胞株の樹立を試みたが、コロナ禍等により計画通りには遂行できなかった。また、MLC2v/HCN4陽性細胞として刺激伝導系細胞を分取するアプローチも試みたが、共陽性細胞の割合が極めて低く、解析可能な細胞数を得ることができなかった。これらの理由により、刺激伝導系細胞の分取を引き続き試みる予定である。 (2)HCN4陽性細胞としてペースメーカ細胞を分取できることは明らかとなっていたが、HCN4は同時にFHFのマーカーでも有り、単純にヒトiPS細胞の心筋分化誘導系から陽性細胞を分取すると、前駆細胞なのかペースメーカ細胞なのか判断が難しかった。本年度は、ペースメーカ細胞としてHCN4/Shox2共陽性細胞を選択的に分取し、それらの特性解析を進め、論文として発表することができた。また、依然として心房筋・心室筋の活動電位を示す細胞が含まれていることから、さらなる精製法の検討を進めた。AIによる画像解析が有効であることを見いだした。 上記したように、刺激伝導系細胞の調整は途上であり、(2)~(4)についても、学会発表はできているが論文発表に至っていないので、進捗は一部遅れ気味である。 (3)調整した心房筋様細胞を用いて、PPRX1転写因子の機能解析を行うことができた。このように、ヒトiPS細胞から各種サブタイプ心筋の調整、そして調整した心筋細胞のアプリケーションとして1つの成功例を示せたと考えている。 (4)FHFとSHFの前駆細胞の分取に成功した。さらに、発生分化過程での遺伝子の発現解析などにより、心臓の形成過程における遺伝子制御機構の一端を解明できるのではないかと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
心臓オルガノイド作製のために、素材となるサブタイプ心筋調整法の検討と特性解析を進めたいと考えている。現状では、学会発表はできているが、論文化できていない関連研究テーマが複数あり、さらに刺激伝導系細胞の分取法をまだ確立できていない。そこで、これらの課題に対処することを目的に、研究期間を1年延長した。今後1年間の方針としては、素材細胞を使った3つのテーマ、①ペースメーカ細胞のAIによる画像解析、②FHFとSHF前駆細胞の分取とその特性解析、③心房筋におけるPPRX1の機能解析について論文の作成を目指す。 (1)高効率でペースメーカ細胞を濃縮できるHCN4/Shox2共陽性細胞の分取法であるが、まだ心房・心室筋細胞の混入が避けられない。そこでAIによる画像解析により、ペースメーカ細胞と心房・心室筋細胞とを識別できるかどうか検証する。 (2)HCN4-EGFPによってFHF、Islet1-mCherryによってSHFを分取できているので、HCN4およびIslet1の経時的な蛍光タンパク質の発現パターンを明らかにする。続いて、各分化誘導段階でのHCN4あるいはIslet1陽性細胞の遺伝子発現プロファイルを明らかにし、各ステージにおけるFHF あるいはSHF前駆細胞の分化状態等を解明して、論文を作成する。 (3)Mlc2a/Mlc2vの共陽性細胞として、心房筋洋裁棒を高純度に分取できているので論文化する。続いて、PPRX1については、ノックダウン実験によってKV1.5イオンチャネルの発現制御に関わっていることが明らかとなっているので、強制発現実験による論文化を目指す。 (4)刺激伝導系細胞については、今一度、mink遺伝子座へ蛍光タンパク質を導入し、mink陽性細胞の可視化および選別採取をもう一度試みる。
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