研究課題/領域番号 |
20K12668
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
奥野 啓介 鳥取大学, 医学部, 助教 (10597959)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 小児不応性血球減少症 / 再生不良性貧血 / 芽球増殖を伴う不応性貧血 / 骨髄異形成症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
小児の骨髄異形成症候群(MDS)の1病型である小児不応性血球減少症(RCC)は形態的に再生 不良性貧血(AA)との鑑別が困難であり、RCCの遺伝学的特徴についても不明である。本研究では、RCC患者の骨髄細胞の遺伝子のうち腫瘍発生に関連する遺伝子の変異の有無を次世代シークエンサーで同定し、病的変異か否かを解析し、RCC発症の成因を解明する。AAと、より白血病に近いMDS病型の芽球増殖を伴う不応性貧血(RAEB)についても同様の解析を行い、RCCの特徴をより明確化する。AA、RCC、RAEB各症例の臨床経過や細胞形態と、遺伝子変異の関連も検討する。
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研究実績の概要 |
研究3年度目であったが、筆者自身の新型コロナウイルス感染症とその後の体調不良等により、解析が滞っている。遺伝子解析については、2023年度には完成させる予定である。2022年度中の新規症例はなかった。 研究計画に沿って、解析できる症例、再生不良性貧血(AA)2例、小児不応性血球減少症(RCC)2例、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)と診断された各症例について、(1)染色体解析、(2)血球形態異常(2008年WHO分類に基づく骨髄異形成症候群の診断基準で、診断的価値の高いカテゴリーAであるPelger核異常、低分葉好中球、顆粒形成異常好中球、微小巨核球、環状鉄芽球とそれ以外の巨赤芽球性変化などのカテゴリーBで整理)、(3)免疫染色での53陽性例の3つの観点から以下のとおりのデータを得た。 まず、染色体異常があったのはRAEBの1例のみで、45, XX, -7で予後不良とされるものであった。これは先刻報告した通りSAMD9遺伝子の変異が見いだされている。 形態異常については、筆者らの血液専門医と病理医の意見を総合して判断した。AA症例2例はいずれも血球形態異常はなく、RCCではいずれも巨赤芽球性変化(カテゴリーB)を認め、1例が顆粒形成不全好中球(カテゴリーA)を認めた。RAEBについては、芽球増殖に加えて形態異常が目立った。3例全例にPelger核異常、2例に微小巨核球、1例に顆粒形成不全好中球というカテゴリーAの異常を認めた。3例ともカテゴリーBの異常を認めたが、環状鉄芽球は全く認めなかった。 p53免疫染色については、AAでは検討された症例がなく、RCCでは1例が、RAEBでは2例が検討され2例とも陽性であった。p53免疫染色ではRCCか否かの判定は難しいことが示唆された。 以上からはAA、RCC、RAEBとなるにつれて形態異常が著しくなる傾向が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
筆者が2022年5月新型コロナウイルス感染症に罹患し、以後慢性の体調不良が続いていたこと、さらに急性期症状回復後も一般診療業務(新型コロナウイルス感染症患者受け入れを含む)、働き方改革などに関わる大きな方針転換を要する管理運営業務にエフォートを割かざるを得なかったことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に合計8件症例を目標に骨髄検体の遺伝子解析を行う。来年度に学会発表および論文化を目指す。
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