研究課題/領域番号 |
20K12677
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
宗 未来 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (00327636)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 認知行動療法 / メタバース / VR / VR-CBT / うつ病 / グループ認知行動療法 / CBT / Metaverse / 仮想現実 / インターネット認知行動療法 / バーチャルリアリティ / RCT |
研究開始時の研究の概要 |
抑うつ者の大半は診断閾値未満の軽症である。人数が多く遷延しやすいため社会的損失はうつ病に匹敵するが、通常は医療の対象外である。認知行動療法(CBT)に期待が集まるが、治療者不足の上、費用対効果が悪い。効率重視のインターネットCBT(iCBT)やグループCBT(GCBT)では、前者は実地では不人気で広がらず、後者は費用対効果や脱落率で優れていても、参加人数に制限がある。就労者は平日昼間や遠隔地からの参加が難しい。赤の他人と同席する煩わしさも敬遠される。本研究では、ウェブ上のVR(仮想現実)空間で参加者がアバター(分身)となり参加するVR-GCBTによるiCBTの抗うつ効果増強を探索的に検討する。
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研究成果の概要 |
諸外国でも例のないVR空間(メタバース)でのグループ認知行動療法を、自助の抗うつ治療アプリ(iCBT)に付加してその効果増強を検証した。予備研究である前後比較試験での効果確認を踏まえ、本試験である無作為化比較試験(RCT)を実施した。主要評価項目であるBDI-2および副次項目GAD-7において、シャム待機群に対し、3か月後フォローアップ時における有意な抗うつ効果(p=0.0128)と抗不安効果(p=0.0420)が各々示された。また、労働生産性の指標WHO-HPQにおいてもやはり有意傾向(p=0.0864)での改善が認められた。得られた長期効果から、持続性に欠くiCBTの効果増強が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
メタバース(VR空間)という新規的ツールを活用したグループ認知行動療法は、諸外国でも例のないユニークな試みである。国難とも言うべきコロナ禍の最中に、苦しむ抑うつ者に対して有意な抗うつ&抗不安効果が示され、特に介入後3か月を経過した追跡時点での 効果を認めたことは、既存の抗うつ治療アプリ(iCBT)への医療経済的な効果増強の可能性が示唆され、その意義は大きい。また今回メタバースならではの、ユニークな感想や反応がいくつも観察され、特に今後、現在の枠組みでは届かない潜在的メンタルヘルスユーザーへの革新的なアウトリーチとしての可能性も示唆された。本研究は探索的位置づけであり、さらなる検証が望まれる。
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