研究課題
基盤研究(C)
近赤外光感受性物質を結合させたアビジン(AvIR)と、標的細胞の表面抗原に対するビオチン化抗体(BioAb)により、異なる種類の細胞群を同時に標識して近赤外光被照射細胞のみを殺傷できる新規な光免疫療法(AvIR-PIT)の応用展開として、腫瘍関連抗原およびCTLA4に特異的なBioAbのカクテルを用いることで、腫瘍細胞のみならず抗腫瘍免疫応答を抑制している制御性T細胞を併せて殺傷するAvIR-PITについて検証する。本法によって腫瘍局所の免疫寛容環境が解除され、腫瘍細胞由来の癌抗原に対する細胞傷害性T細胞が誘導された結果、光照射部位に限局されない全身性の抗腫瘍効果が得られるものと期待できる。
本研究では、近赤外光感受性物質を結合させたアビジン(AvIR)と、腫瘍関連抗原およびCTLAー4に特異的なビオチン化抗体(BioAb)を用いた光免疫療法(AvIR-PIT)のによって、腫瘍細胞のみならず制御性T細胞を併せて殺傷するAvIR-PITについての検討を行った。マウス乳癌由来4T-1-luc2細胞株およびCTLA-4を安定発現するCHO-K1細胞をモデルとした用いたin vitroにおけるAvIR-PITを検討した結果、表面抗原特異的で強力な殺細胞効果が確認された。
コロナ禍の制約の中でin vivoにおけるAvIR-PITの詳細な解析には着手できなかったが、腫瘍関連抗原と免疫チェックポイント分子を同時標的化するAvIR-PITのコンセプトをin vitroにおいて実証することができた。AvIRを用いたPITは今回標的としたCD44やCTLA-4に留まらず、さまざまな細胞表面抗原を標的化して殺傷できるため、より有効な標的分子を対象とすることで、近赤外光照射腫瘍のみならず、転移した遠隔腫瘍に対しても腫瘍免疫応答を惹起するような治療へと展開できる可能性がある。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Future Science OA
巻: Published online 号: 5
10.2144/fsoa-2021-0006