研究課題/領域番号 |
20K12713
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 米子工業高等専門学校 |
研究代表者 |
上原 一剛 米子工業高等専門学校, 機械システム部門, 教授 (10324998)
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研究分担者 |
大林 徹也 鳥取大学, 研究推進機構, 准教授 (80348804)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 熱設計 / 医療機器 |
研究開始時の研究の概要 |
高機能化する医療機器の研究開発で今後解決すべき課題は,医療機器の発熱問題である.発熱量が多くなると患者の体表面や臓器との直接接触による臓器損傷などが懸念される.今後,日本から高度な医療機器を積極的に世界に向けて発信していくには,医療機器に特化した本質的な熱設計指針の確立が不可欠となる.本研究の目的は,人体との直接接触が生じる医療機器を対象にその熱設計の指針を得ることであり,ここではその基礎としてモデル実験や数値シミュレーションを通じて医療機器の内部に熱を積極的に閉じ込めて効率的に排出する方法がよいのか,医療機器の内部の温度分布が均一化する熱対策がよいのかについて学術的な観点から明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究は,医療機器を対象とした熱設計法や熱設計指針の構築を目的に,医療機器の熱問題の学術的な展開を目指すものである.2022年度は,(1)熱の流れを調整する部材の試作とそれを用いた熱設計法の検討,(2)医療現場での使用状況下における温度評価法の基礎検討,(3)熱設計法や熱設計指針に基づいた最適構造を検討するための有限要素モデルの検討などを行った. (1)については,機器内部での熱の流れの調整を目的に,異なる熱伝導率をもつ素材を組み合わせた部材を試作した.様々な温度環境下でこの部材の温度特性を実験的に調べ,医療機器を構成する部品としての展開可能性について検討した. (2)については,医療現場で用いられる培養ディッシュ内で受精胚近傍の温度を測定するための基礎的検討を行った.ディッシュ内に設置した示温材の色変化をデジタル処理して測定する方法について検討した.示温材の色変化と熱電対による温度測定結果を比較した結果から,示温材の温度検知範囲内で温度に対して色成分の値が極値を持たない色成分であれば,示温材の色変化でディッシュ内底面の温度変化を検出できる可能性を明らかにした. (3)については,これまでの研究で構築したシミュレーション環境を利用し,検討中の熱設計法や熱設計指針に基づいた最適構造を明らかにするための有限要素モデルの作成を進めた.医療機器等の内部熱源熱量や放熱状況の推定に加え,(1)で検討した部材の最適な配置や成分の検討を行うために,熱解析に最適化手法を組みわせた数値シミュレーション環境の構築を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機器内部での熱の流れの調整を目的に,異なる熱伝導率をもつ素材を組み合わせた部材を試作し,様々な温度環境下でこの部材の温度特性を実験的に調べた.医療現場で用いられる培養ディッシュ内で受精胚近傍の温度を測定する基礎的検討として,ディッシュ内に設置した示温材の色変化をデジタル処理して測定する方法を検討した.また,これまでの研究で構築したシミュレーション環境を利用し,検討中の熱設計法や熱設計指針に基づいた最適構造を明らかにするための有限要素モデルの検討を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
医療の現場で用いられる医療機器の熱的な特性に応じた対策を明らかにしていく. 体内挿入や体表への装着を目的とした医療機器で発熱を伴うものについては,内部の熱を効率的に排出する方法,内部の温度分布を均一化するといった対策について具体的に検討し,設計法の検討へつなげていく.検体の保管容器など,温度を保持する機能を必要とする機器に対しては,検体温度を正確に測定する方法や温度を保持するため工夫が必要である.外部の熱的な要因から影響を受けにくくすることも必要である.これらの対策を実施するために,2022年度に検討した,異なる熱伝導率の素材を組み合わせた部材に関する追加の検討を実施する.適切な素材の選定やその配合により,外気温の影響を受けにくい医療用容器構造への展開可能性を検討していく. 医療機器の熱問題の解決には,医療機器内部の熱流を正確に把握することも重要である.数値シミュレーションの活用や熱流の測定実験を通じて医療機器内部の熱の移動を可視化し,それぞれの医療機器の特性に適した熱設計法および熱設計指針の検討を継続して進める.特に,医療用容器を対象とした部材の最適配置については,数値シミュレーションを活用して実施することを検討をしており,今後は最適化手法を組み合わせて実施する. さらに,これまでに得られた知見に基づいて,品質工学のパラメータ設計の考え方を導入してばらつきによる影響を検討するなど,実際の医療機器への応用するための実用化検討も実施する.
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