研究課題/領域番号 |
20K12720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
浅川 賢 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (60582749)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 他覚的視野評価 / 対光反射 / 瞳孔視野計 / ヘッドマウント型視野計 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの視野評価法は、「光視標が見えたらボタンを押す」という自覚応答が要求されるため、患者の理解状況や曖昧な応答によっては、誤った解釈を生じる。 解決策として、瞳孔の対光反射を応用した他覚的視野評価法である“瞳孔視野計”が各研究者によって試作されたが、自覚と他覚の視野結果が一致しない症例が存在することや、実際に病変を捉えられているか否か、結果の解釈が困難であった。 本研究では、瞳孔視野計の実用化に向けての基礎データおよび臨床データを検討することで、自覚検査が困難であった症例に対し、有用性を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
瞳孔視野計では対光反射を他覚的視野評価の指標とするため、瞳孔反応の特性と視覚の感度分布とが対応していることが前提となる。しかし、自動静的視野計とは測定原理・測定条件が異なることや、瞳孔には固有の変調が経時的にみられるため、測定値の個体差や個体内での変動の大きさが問題となる。そこで、健常者を対象とし、さまざまな測定条件において瞳孔反応の特性を検討した。また、瞳孔視野計の測定が困難な例や不可能な例を解析することで適応を明らかにした。 瞳孔視野計の対光反射は、局所的瞳孔反応であるため、いかに最大の縮瞳量を得るかが重要となる。視標輝度は微弱な光強度では消失し、明るすぎても対光反射波形が不安定となった。背景輝度は暗いほど大きな反応が得られるが、あまり暗くすると視野計の内部で過度の光散乱を生じ、正確な網膜部位別の光刺激ができないこと、視標サイズは大きいほど軽微な視野異常や局所欠損の検出力が低下する可能性があった。また、瞳孔視野測定の困難例や不能例の最たる要因は、ドライアイなどにより瞬目が多く混入する例や一定時間の開瞼維持が困難な例であり、測定時間の延長とともに、波形に乱れを生じた。また、内部視標を判別できないほどの視力障害や弱視を有する例では著しい固視不良となり、眼振やパーキンソン症状を有する例では瞳孔が検出されず測定不能であった。さらに、瞳孔径が3 mm以下では極めて微弱な反応となり、縮瞳率としての値が得られなかった。 自覚的視野評価では応答しなければ異常となるが、自覚応答が困難な症例は増加してくると予測される。このような症例に他覚的視野評価が有用となり得る可能性があるが、すべてが適応となるわけではなく、測定が困難あるいは不能となる要因を把握しておくことは、被検者に対する負担軽減につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
他覚的視野評価の測定条件を検討するとともに、その適応を明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
測定困難例や不能例の頻度と、それらの要因が明らかとなったことを踏まえて、瞳孔記録装置の精度向上などの改良や、視野異常の出現頻度が多い測定点に限局した検査時間短縮の対策を検討している。
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