研究課題/領域番号 |
20K12721
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
高橋 康仁 東京医科大学, 医学部, 助教 (60567668)
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研究分担者 |
立岩 俊之 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00424630)
宍戸 孝明 東京医科大学, 医学部, 教授 (70266500)
正岡 利紀 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70256270)
山本 謙吾 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10246316)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 人工股関節 / 複合セラミックス / 加速エージング / 相変態 / 残留応力 / 構造健全性 / 低温劣化 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、人工股関節インプラントには、アルミナ―ジルコニア複合セラミックスが使用されているが、生体内で低温劣化(LTD)と呼ばれる経年劣化が生じることが課題となっている。セラミックインプラントの安全性を正確に評価するためには、LTDに関する厳密な実験検証が不可欠となるが、現行のISOやASTMの標準化試験は生体条件を単純化した画一的試験であるため、患者の体内に挿入して初めて不具合が表出する可能性が危惧されている。本研究では、最新複合セラミック製人工股関節の長期構造健全性を明らかにし、次世代材料開発の足掛かりにするとともに、耐用予測精度向上のための新たなシミュレーション条件について具体的提示を行う。
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研究実績の概要 |
人工股関節全置換術用の摺動面構成部材として使用される複合セラミックインプラントであるアルミナ強化型ジルコニア(alumina-toughened zirconia: ATZ)およびジルコニア強化型アルミナ(zirconia-toughened alumina:ZTA)は、含有するジルコニア相の経年的な相変態現象(正方晶→単斜晶)に伴う低温劣化(low temperature degradation: LTD)を生体内で来すことが知られている。本研究では、ATZ製大腿骨頭1種およびZTA製大腿骨頭2種を対象に、LTDに関する標準規格耐久試験(134℃,0.2MPa, ASTM F-2345-03)を実施し、さらに各骨頭表面に予亀裂を導入することで応力集中下における加速エージング試験も実施した。最終年度では、応力集中の有無によるLTD進行速度の違いを100年間の生体内使用に相当する超長期間まで、実験的にシミュレーションした。 ATZでは、ジルコニア単斜晶の核生成~1次元核成長プロセスまでが発現しており、ZTAよりもLTDの進行速度が速い様子を観察したが、核成長による強力な圧縮力の発生によって、優れた亀裂遮蔽能を発揮できることを確認した。一方、ZTAでは核成長が起こらずLTD進行が緩やかであり、長期構造安定性が期待できる。しかし、亀裂遮蔽能ではATZに劣り、微小亀裂先端の引張応力域の拡大が観察されたことから、ZTA骨頭ではセラミック寛骨臼ライナーと組み合わせてhard-on-hard摺動面を構成する際に留意が必要と思われ、寛骨臼側には超高分子量ポリエチレンを使用する方が無難であると考えられた。また現行の標準化試験は臨床データに比べて過小評価傾向であることを認め、微小亀裂を導入した応力集中下における加速エージング法の方がより臨床に近い値を得ることができた。
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